移住者プロフィール
増永 愛子さん
利用した支援制度
地域おこし協力隊
長野県松川村の地域おこし協力隊、趣味・特技:映画鑑賞・自転車・ライティング
目次
INDEX
地域おこし協力隊の応募動機について教えて下さい。
私が地域おこし協力隊に応募した理由は、「柏屋旅館のような場所を作りたい」と思ったからです。以前、私は柏屋旅館というゲストハウス兼シェアハウスに住んでいました。
そこには、IT関係の仕事をしている人、学校の教頭先生、林業に携わる人など、立場や年齢が異なるさまざまな人たちが集まっていました。また、宿泊者も次々と訪れる場所で、常に新しい出会いに満ちていました。
その場所では、住人や宿泊者が自分のやりたいことや目標に向かって進む一方で、困っている人がいれば自然に話を聞き合い、「いってらっしゃい」「おかえり」と家族のように声を掛け合いながら関係を築いていました。ずっと一緒に過ごすわけではなくても、温かいつながりを感じられる場所でした。
当時、私は自分のこれからの生き方に迷いがありましたが、その場所に何度も救われました。形は違っても、「人をつなぐ」ということを通じて、そんな場所を今度は自分の手で作りたいと思い、地域おこし協力隊に応募しました。
長野県松川村を選んだ理由について教えて下さい。
最初は、福祉分野の協力隊という募集内容に興味を持ち、応募を考え始めました。その後、「おためし協力隊」で松川村に3日間滞在し、いくつかの村の施設を案内していただいたことが大きなきっかけとなりました。
滞在中、公民館で地域の方々が活発に活動している様子を見学したり、自主的に居場所づくりのためにサロンを開いている取り組みを知りました。その姿から、住民の皆さんが「自分たちで村を作る」という強い自主性を持っていることを感じました。
この自主性こそが大きな魅力に感じられ、松川村の地域おこし協力隊として活動することを最終的に決めた理由です。
地域おこし協力隊の仕事内容について教えて下さい。
私の仕事内容は、「人と人をつなぐこと」です。現在、社会福祉協議会でボランティアコーディネーターをしています。もともと活動されているボランティアの方々が、より活動しやすくなるようにコミュニケーションをとったり、ときには一緒に活動させていただくこともあります。
ボランティアは、何かの活動を行うために必要とされる存在ですが、実はボランティアをする側にとっても大きなメリットがあると考えています。自分の活動が誰かの役に立つことはもちろん、人と関わる機会やつながりを作る手段として、とても有効です。
私は、ボランティア活動を通じて人と関わり続け、張り合いのある豊かな時間を過ごしていただけるようサポートすることを心がけています。
地域おこし協力隊のやりがいはなんですか?
現在、地域おこし協力隊としてというよりも、松川村社会福祉協議会での仕事を中心に活動しています。私がやりがいを感じるのは、地域に住む方々が「これが生きがいだ」と言ってもらえるような機会を創り出すことです。
例えば、道の駅への買い物や30~40分の車でのお出かけなど、私にとっては何気ないことでも、高齢の方にとってはとても貴重な機会になることがあります。
実際に「こうして人と会って出かけられることが、今の生きがいだ」という言葉をいただくと、その方が豊かに生きるためのお手伝いができていると感じ、とても嬉しく思います。このような瞬間が、私にとっての大きなやりがいです。
地域おこし協力隊になって想定外だったことを教えて下さい。
想定外だったのは、山が近すぎて空が狭く感じることです(笑)。私は空を眺めるのが大好きで、松川村に住む前に少しだけ住んでいた佐久市では、よく自転車を止めて空を眺めたり、河原で一人静かに空を見上げて過ごしたりしていました。
松川村は、佐久市よりもさらに自然に近い環境なので、空を眺める時間を取ることも楽しみにしていました。しかし、なんとなく空を眺める気分になれず、「どうしてだろう?」と不思議に思っていたのです。
そこで気づいたのが、松川村は山がとても近く、その影響で空が狭く感じるということでした。自分好みの空ではなかった、というのが想定外だった点です(笑)。
同じ長野県内でも、地域によって自然の景色や感じ方がこんなに違うのは面白いですね。松川村でも、自分のお気に入りの景色をこれから見つけていきたいと思っています。
卒隊後のビジョンがある場合は教えて下さい。
私のビジョンは、「当たり前にリスペクトし合える世界を作ること」です。立場や職業、障がいの有無、何かができる・できないに関係なく、誰もが自分のしたいことを自由に行い、それを周囲が祝福し合う世界を目指しています。お互いを自然にリスペクトし合える、そんな社会を実現したいと考えています。
今私が関心を持っているのが「障がい者アート」、「認知症世界の歩き方ワークショップ」、「福祉職従事者の精神的なサポート」です。これらの取り組みを通じて、私のビジョンを一歩ずつ形にしていきたいと思っています。
松川村の住民と触れ合った際の印象と、エピソードも添えて教えて下さい。
私は現在、社会福祉協議会で活動しており、高齢者の方々と接する機会が多いのですが、皆さん本当に元気で活発だと感じます。たとえば、80歳を過ぎても自宅で陶芸を続けている方がいらっしゃったり、地区ごとに集まる「ふれあい会」が村内各地で定期的に開催されています。
「ふれあい会」は、主に地域のつながりを保つことを目的としていますが、中心となって活動されているのはご高齢の方々です。彼らは当たり前のように、「周りの方がどうすれば居心地よく過ごせるか」を自然に考えながら日々を送っているように見受けられます。
また、松川村には「自分たちの地域を良くしたい」と積極的に動いている方が非常に多いと感じます。さらに、集まりに参加させていただくと、必ずと言っていいほど「遠いところからよく来たね」と温かく歓迎していただけます。
松川村の人々のオープンで外の人を受け入れる人柄は、この地域ならではの大きな魅力だと思います。
松川村の魅力について教えて下さい。(自然やグルメ、オススメスポットなど)
松川村の魅力は、程よい田舎具合です。長野県は山が多く坂道の多い地域が大半ですが、松川村は激しい坂道は少なく、自転車や徒歩でも楽に移動できます。
また、隣の大町市や白馬村に比べ冬は雪が少ない(らしい)です。雪に慣れていない私たちにとって、自然が近い割に雪が少ないというのは、移住のハードルが低く魅力的だと思います。
移住を検討している方にメッセージをお願いします。
先述したように、松川村は移住者にとってハードルの低い地域です。豊かな自然環境やオープンな村民性など、移住しやすい条件が揃っています。少しでも気になったら、ぜひ一度足を運んでみてください。
存在感があり、どこか安心感を与えてくれる山々や、澄んだ空気を実際に感じてみてほしいです。また、可能であればボランティア活動に参加したり、ちひろ公園やすずの音ホールでのイベントに足を運んだりして、地域の方々と直接触れ合う機会を持つのもおすすめです。
松川村のオープンで優しい村民性にきっと触れることができると思います。
地域おこし協力隊の詳細についてはコチラ↓
https://warp.city/features/2