<h2>地域おこし協力隊の応募動機について教えて下さい。</h2><p>私が中学生の頃、阪神淡路大震災を経験しました。この体験から、安心して快適に過ごせる環境を作りたいという思いが芽生え、その後、住宅設計の仕事に就きました。</p><p>しかし、30代のときに父がクモ膜下出血で倒れたことをきっかけに、介護や看護に興味を持ち、看護師になることを決意しました。その後、病院や訪問看護ステーションで働いていました。</p><p>しかし、働く中で「帰りたくても帰れない」「在宅生活をしていても楽しみがなく、寂しい生活を送っている人がいる」という現実に直面し、私の中でモヤモヤが残っていました。もっと地域に密着して、身近なところで安心して楽しく暮らせる生活をサポートしたいと強く思うようになりました。</p><p>そのタイミングで「コミュニティナース」という取り組みを知り、地域での医療や生活支援に興味を持つようになりました。これがきっかけとなり、地域おこし協力隊に応募することを決意しました。</p><h2>兵庫県養父市を選んだ理由について教えて下さい。</h2><p>私が小学5年生の時、自然学校で訪れたハチ高原の豊かな自然が強く印象に残っています。特に、夜に見た星空はとても美しく、今でも忘れられない大切な思い出です。</p><p>このような美しい自然環境で生活したいという思いが、養父市を選んだ一番の理由です。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/10/02/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/rIUDOHGfSQw5HelSJOP_N.webp"></figure><h2>地域おこし協力隊の仕事内容について教えて下さい。</h2><p>私は「コミュニティナース」という活動をしています。キャッチフレーズは、町を元気にする「おせっかい焼き」の看護師です。地域の方々の悩みや不安を解決し、楽しさを共有することを目指しています。</p><p>具体的には、高齢者が集うサロンや認知症カフェで健康相談を行ったり、一緒にお茶を飲んだりしながら、地域の皆さんと寄り添い、楽しく健康になるサポートをしています。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/10/02/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/lYNn4flmQFEE1-tSt9FFF.webp"></figure><h2>地域おこし協力隊のやりがいはなんですか？</h2><p>地域の方々の笑顔を見られることが、私にとって一番のやりがいです。小さな不安や悩みを解決したり、ちょっとしたお手伝いをしたりすると、「ありがとう」と声をかけていただける瞬間が何よりも嬉しく、私自身も元気をもらっています。</p><p>少子高齢化が進む中で、個人の力だけでは解決が難しい問題もあります。しかし、ほんの少しのサポートで新たな一歩を踏み出せる人がいます。そのサポートを積み重ねることで、地域全体が元気になっていると実感しています。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/10/02/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/Y08HSzU2Dg1v0BuLEenbA.webp"></figure><h2>地域おこし協力隊になって想定外だったことを教えて下さい。</h2><p>初めて訪れる場所でも、「地域おこし協力隊です」と挨拶すると、思いがけず皆さんが温かく迎え入れてくれることが多く、嬉しい驚きでした。</p><h2>卒隊後のビジョンがある場合は教えて下さい。</h2><p>まだ具体的には不鮮明な部分もあります。しかし、現在行っている活動を通じて仲間を増やし、今後も一緒に取り組みを続けていきたいと考えています。</p><h2>養父市の住民と触れ合った際の印象と、裏付けるエピソードについて教えて下さい。</h2><p>皆さんに温かく迎え入れていただいていると感じます。</p><p>仲良くなった住民の方が、よく知り合いに私を紹介してくれるのですが、その際に「土居さんはね…」と、固有名詞で紹介してくださいます。協力隊の一員としてではなく、一個人として認識してもらえているのだと実感し、とても嬉しいです。</p><h2>養父市の魅力について教えて下さい。（自然やグルメ、オススメスポットなど）</h2><p>養父市では、新しい取り組みに積極的だと感じます。国家戦略特区であることから、地域で「やぶくる」というライドシェアを実施しています。</p><p>さらに、マイナンバーカードの普及率が2024年3月末時点で90.8％と全国第1位を誇り、デジタル化への積極的な取り組みも大きな魅力の一つです。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/10/02/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/mDiSdkw7bJomlrINWFJab.webp"></figure><h2>移住を検討している方にメッセージをお願いします。</h2><p>移住にはさまざまな不安があるかと思いますが、一度現地に足を運んでいただくことで、その不安が整理され、解決の糸口を見つけるきっかけになると思います。</p><p>観光のついででも、養父市にお越しいただけることを楽しみにしています。</p><p><strong>地域おこし協力隊の詳細についてはコチラ↓</strong><br><a href="https://warp.city/features/2" target="_blank" rel="nofollow noopener noreferrer">https://warp.city/features/2</a></p>

ワープシティ公式

「地域おこし協力隊」とは、地方自治体が地域外の人材を「地域おこし協力隊」として任命し、地域の魅力PRや、農業・漁業への従事、イベントやお祭りの運営など、様々な地域協力活動を行ってもらい、その地域への定住・定着を図る、総務省の取り組みです。

自治体から地域おこし協力隊に委嘱される地域協力活動の内容はさまざま。
地域おこし協力隊の方々は、ふだん一体どのような仕事をしているのでしょうか。

ワープシティは、全国の地域おこし協力隊の隊員にご協力いただき、応募動機や仕事内容、仕事のやり甲斐などについてヒアリングをいたしました。
地域おこし協力隊への入隊をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください！

「地域おこし協力隊に聞きました！」第145回目にご協力いただいた地域おこし協力隊の方は、兵庫県養父市の土居一雄さんです。

養父市

兵庫県

兵庫県養父市の地域おこし協力隊、趣味・特技：散歩・人の話を聞くこと

土居　一雄

#145 養父市で広がる温かなサポート。町を元気にする「おせっかい焼き」の看護師！

<h2>コロナ禍の夏休みに「お蚕さん」と運命的な出会い</h2><p>物心ついた頃から“虫好き”だったという石井さん。初めて虫を飼ったのは幼稚園の時。</p><p>「にんじんの収穫体験をした時にキアゲハという蝶々の幼虫を見つけ、家に持ち帰って育てたのが最初です。それがとても楽しくてアゲハチョウやモンシロチョウなどの幼虫を捕まえては育てるようになりました。</p><p>イモムシは動きが鈍く観察しやすいので、一人っ子の私は時間潰しの遊びとして、幼虫の動きを観察しながら絵を描くのが好きでした」</p><p>生き物に関わる仕事がしたいという想いから、高校卒業後、青森にキャンパスのある大学で畜産について学んだ。そこで出会ったのが「お蚕さん」だった。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/07/17/IurpajjORaaiP5rDRE0hG/ph-HzrhwQT-zjF-ZsnMsy.webp"><figcaption><span style="color:rgb(34,34,34);">桑を食べる五齢幼虫</span></figcaption></figure><p>「コロナ禍でどこにも行けない夏休みに、お蚕さんを飼えるという情報をたまたま目にしました。試しに飼ってみたらとても楽しくて、どんどんハマりました。情報を集める中で、お蚕さんが長野県などで昔から食用にもされていたということを知り、もっと詳しく調べたいと思いました。そこで昆虫食の研究室に入り、お蚕さんの餌にさまざまな成分を混ぜ、さなぎになった時にどれくらい栄養分が増えるのかを研究しました」</p><p>研究室で昆虫食の研究を進めるうちに、お蚕さんへの興味はさらに広がっていく。</p><p>「<mark class="marker-yellow">養蚕業にも興味を持つようになり、ちょうど就職するか大学院で研究を続けるかを決める時期にさしかかっていましたが、養蚕をしたいという気持ちがどんどん大きくなりました。</mark></p><p><mark class="marker-yellow">そんな時、移住サイトで養父市が養蚕を希望する人を地域おこし協力隊として募集しているのを見つけたんです。これだ！と思いました。</mark>一度も行ったことはないし、養父（やぶ）の読み方もわからないくらいでしたが、すぐに心が決まり応募しました」</p><h2>山と谷で構成される自然豊かな養父市</h2><p>兵庫県の北部、但馬地方に位置する養父市。市の東部には一級河川・円山川が流れ、西部には県内最高峰の氷ノ山や鉢伏山、北部には妙見山がそびえるなど、雄大な自然に囲まれた地域だ。四季折々の景色の変化を楽しめる登山やハイキングコースなども充実している。</p><p>「初めて養父市を訪れた時の印象は、『山がすごく近いな』ということでした。山と谷で構成された地域で、火山の噴火によって形成された独特な地形もみられます」</p><p>実際に暮らし始めて感じた養父市の魅力についても教えていただいた。</p><p>「<mark class="marker-yellow">山には鹿がたくさんいてジビエ料理が味わえますし、海も比較的近くにあるので海産物もほどよく手に入ります。</mark></p><p>私は<mark class="marker-yellow">朝倉山椒</mark>が好きです。養父市発祥の山椒で、香りが強く、辛さは控えめです。単に美味しいというだけでなく、その背景には古い歴史があります（朝倉山椒は、豊臣秀吉が白湯に焦がした山椒を入れて飲んだという記録も残っている）。特産品が並ぶ道の駅などに行くと、とても楽しいです」</p><p>地域おこし協力隊として採用が決まるまで、養父市には一度も訪れたことがなかったというが、未知の土地で暮らすことに不安はなかったのだろうか。</p><p>「青森にいた頃も田舎暮らしでしたので、田舎に住むこと自体に特に抵抗はありませんでした。良くも悪くも青森で鍛えられたのだと思います。冬場は寒さで水道管が凍り、破裂することもあるので、外出時には水道の水を抜く『水抜き』の作業が必要です。そのやり方も青森で覚えました。養父市も冬場は寒くて雪が降りますが、青森ほどではありません。そういう意味ではとても暮らしやすいです」</p><h2>偉大な養蚕家を生んだ養父市の養蚕業</h2><p>養父市における養蚕業の歴史は江戸時代まで遡る。円山川沿いの地域は、山陰街道や舟運など但馬地域の交通の要衝として栄え、生糸商の往来が盛んであった。</p><p>養父市大屋町生まれの養蚕家・上垣守国（うえがきもりくに）は江戸時代に活躍した人物だ。彼は日本の養蚕技術を飛躍的に向上させ、『養蚕秘録』という技術書を出版し、海外向けに翻訳もされている。</p><p>明治時代になると、優良な繭を使った絹織物が但馬地域で発展し、日本の輸出産業を長らく支え続けた。しかし、高度経済成長期以降、安価な合成繊維の普及や養蚕農家の高齢化によって、日本の養蚕業は衰退の道をたどることになる。養父市も例外ではなく、半世紀ほど前には地域の養蚕農家はすべて廃業し、繭から生糸をとるために「お蚕さん」を育てる人は今では一人も残っていないという。</p><p>「養父市は、長野県や群馬県などと比べると、養蚕の知名度はそれほど高くありません。比較的早い時期に養蚕が廃れてしまったことが、その理由のひとつかもしれません。</p><p>廃れてしまったとはいえ、<mark class="marker-yellow">今でも地域の方の多くはお蚕さんに愛着を持っています</mark>。今の60代～70代の方は、ご自身はやっておられないけれど、ご両親やご祖父母の世代が養蚕をしていたという方たちです。<mark class="marker-yellow">当時はどんなふうにお蚕さんを飼っていたのか、昔はどのあたりに桑畑があったのかなど、文献やネットからは知ることのできない情報を惜しみなく教えてくださいます</mark>」</p><h2>蚕の餌となる桑も自ら育てる</h2><p>養父市の養蚕業を復活させ、その歴史やお蚕さんの魅力を多くの人に知ってもらうことが、石井さんの地域おこし協力隊としての活動テーマである。</p><p>「<mark class="marker-yellow">最終目標は、養蚕農家として独立すること</mark>」と話す石井さん。これまでの取り組みについてお聞きした。</p><p>「一年目は、<mark class="marker-yellow">繭を生糸にして出荷するためのお蚕さんの飼い方や、お蚕さんのエサとなる桑の木の剪定の仕方などを、『かいこの里』※の方に教えていただきました</mark>」</p><p>※『かいこの里』は、養父市の繭産地としての歴史や文化を後世に残すための施設。同じ敷地内には、上垣守国養蚕記念館も併設されており、５月下旬からの約一ヶ月間は、お蚕さんの飼育現場や成長過程を見学することができ、６月には「かいこ祭り」も開催される。</p><p>「二年目からは、<mark class="marker-yellow">自分で養蚕ができるように、まずは空いている畑を探してそこで桑を育て始めました</mark>。何もない更地の状態から苗を200本以上植えました。現在、私と同じくらいの背丈にまで成長しています。桑は放っておくとどこまでも伸びてしまい、葉が収穫しにくくなるので、冬場に60センチくらいまで低く切り揃えるというのが養蚕における桑の育て方です。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/07/17/IurpajjORaaiP5rDRE0hG/7-pe_hU9jufeLyQuX8o2P.webp"><figcaption><span style="color:rgb(34,34,34);">蚕座(さんざ)のお蚕</span></figcaption></figure><p>三年目の今は、<mark class="marker-yellow">お蚕さんを飼うための空き家を改装して、スペースを広げている最中です</mark>。現在、飼育しているお蚕さんは1万頭ほどです。来年度からは、2万～3万頭まで増やすことを目標に計画を進めています」</p><h2>頑張りが結果に現れる養蚕の面白さ</h2><p>お蚕さんを育てることができるのは、桑の葉が茂る4月後半から10月までの期間。その間は飼育に集中し、冬の間は畑の整備や部屋の掃除、消毒などをメインに行う。</p><p>「養蚕は、卵を孵化させてある程度大きくなるところまで育てる農家さんと、幼虫の状態から繭になるまで育てる農家さんのふたつに分かれて行うのが一般的です。でも、養父市はほかに農家さんがいないので、最初から最後まですべて自分でやっています。</p><p>卵から繭になるまでの期間はだいたい一か月ほどです。夏の暑い時期は育てるのが難しいので、その期間はずらして、今年は1年に4回ほどお蚕さんを飼育できればと思っています」</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/07/17/IurpajjORaaiP5rDRE0hG/I9elzpt5FwPnk92IbrNGX.webp"><figcaption><span style="color:rgb(34,34,34);">蔟(まぶし)に入る熟蚕(じゅくさん)</span></figcaption></figure><p>石井さんにとって、養蚕業の面白さはどんなところにあるのだろうか。</p><p>「お蚕さんは成長が早いので、世話をする人間が少しでも手を抜くと、成長が遅くなるのが目に見えて分かります。結果的に繭も小さくなってしまいます。<mark class="marker-yellow">頑張って育てれば育てるほど、お蚕さんも頑張っていっぱい食べて良い繭を作ってくれる。その努力がちゃんと目に見える結果として現れるところが、養蚕の楽しいところだと思います。</mark></p><p>それ以前に、<mark class="marker-yellow">私は蚕という生き物が可愛いなと思っているので、育てること自体がそもそも楽しいですね</mark>」</p><h2>学生が「お蚕さん」と触れ合う体験も</h2><p>今後は、養蚕の歴史や魅力を若い世代に知ってもらうための取り組みにも力を入れていきたいと話す。</p><p>「養父市の高校の中には、もともと養蚕の専門学校だったところもあります。そうした学校も巻き込んで、<mark class="marker-yellow">お子さんを含めて地域全体に改めて養蚕のことを知ってもらえるようなイベントなどを開催</mark>できたらと思っています」</p><p>一部の高校ではすでに、夏場にお蚕さんを見て触る機会や、繭の糸引き体験などを提供しているという。</p><p>実際に体験した学生の反応はどうだったのだろうか。</p><p>「お蚕さんを触ることに対して『無理無理！』という反応をする人もいれば、最初は嫌がっていても触るうちに『意外と可愛い』と慣れてくる人もいます。</p><p>糸引きには、座繰り機という木製の機械を使います。ハンドルをまわすと糸をぐるぐるぐるぐると巻き取られ、これには興味を持つ学生が多かったです。繭はお湯で煮込むとすぐに糸がほぐれるので、比較的、簡単に糸をとることができます。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/07/17/IurpajjORaaiP5rDRE0hG/hfYR2G9-pUEgPMdmt4H6Z.webp"><figcaption><span style="color:rgb(34,34,34);">お蚕の繭</span></figcaption></figure><p>ただ、この煮込む作業によって、繭の中にいるさなぎは死んでしまいます。最近は着物を着る人も少なくなっていると思いますが、<mark class="marker-yellow">もし家にシルク製品があったら、こうした工程を経てシルクは作られているのだということを知って、大切にしてほしいです</mark>。そうすれば、お蚕さんも少しは浮かばれるかもしれません。こういった話も、学生さんに向けてお伝えしています」</p><h2>自分のしたい暮らしを叶えるために</h2><p>最後に、先輩移住者として、石井さんから地方移住を検討している方に向けてメッセージをいただいた。</p><p>「地域のことをあまり下調べせずに移住してしまった私にいえることは少ないですが......自分が理想とする暮らしと地域の細かいルールがマッチするかどうかは、少なくとも下調べしておいた方がいいかもしれません。ゴミ拾いや草刈りといった地域の作業には、自治体ごとに差があり、人によってはそれが負担になる場合もあると思います。そうした点は市役所などで情報を得ることができます。</p><p>私のようによく調べずに来てしまっても、意外と何とかなっていますが（笑）」</p><p>・</p><p>地域おこし協力隊には、人と地域をマッチングさせる側面もあるが、石井さんの場合はまさに、やりたいことと地域が求めることがぴったりと重なった好事例といえそうだ。</p><p>今後は、養蚕家として独立するために、さらに勉強を重ね、繭の新しい販路も開拓していきたいと話す石井さん。そんな彼女の「お蚕さんが好き」というまっすぐな気持ちが、養父市の養蚕に光を当て、再稼働させる最大のエネルギーとなっていることはきっと、間違いないだろう。</p>

“ワープシティ地方移住体験談”では、地方移住を検討している方に向けて、先輩移住者から移住に至った経緯や体験談、移住先の仕事内容や生活などの生の声をお届けしています。

第80回目の先輩移住者は、兵庫県養父市で地域おこし協力隊として活躍する石井明日香さん（いしい・あすか）さんです。

愛知県出身の石井さんは、昆虫食について研究した大学時代を経て、2022年に養父市に移住。養蚕の復活を図るプロジェクトに携わっています。

移住の経緯とともに、養蚕の魅力や今後の目標などについて伺いました。

出身地：愛知県、前住所：青森県、現住所：兵庫県養父市、職業：地域おこし協力隊

石井明日香

養蚕農家として独立を。養父市で「お蚕さん」を育てる地域おこし協力隊の挑戦

<h2>地域おこし協力隊の応募動機について教えて下さい。</h2><p>やりがいのある仕事を考えたとき、人の役に立ちたいと思いました。人口減少や人手不足が深刻な地方で貢献することが、分かりやすい形で役に立てると考え、地域おこし協力隊に応募しました。</p><p>趣味ではパソコンを使うことが多く、健康のために日中は外で体を動かす仕事をしたいと思っていました。また、里山や田園、自然豊かな環境が好きで、旅行やキャンプにもよく行きます。</p><p>自然を感じながら体を動かし、人の役に立てるという「一石三鳥」の思いで応募しました。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/06/10/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/pEsKUPScCJuYSzEzC5fae.webp"></figure><h2>兵庫県養父市を選んだ理由について教えて下さい。</h2><p>養父市は山に囲まれた自然豊かな地域でありながら、商業施設や都市圏へのアクセスも良好です。また、有名なスキー場や観光資源が豊富な但馬地域に位置しています。</p><p>さらに、養父市は国家戦略特区で、メタバースやマイナンバー施策など、新しい挑戦を積極的に行っている点も魅力でした。</p><h2>地域おこし協力隊の仕事内容について教えて下さい。</h2><p>主な仕事内容は以下の3つです。</p><h3>自伐型林業</h3><p>・個人や区と交渉し、山に入らせてもらう。<br>・山の木を搬出するための道づくり、木の伐採、報告のための測量などを行う。</p><h3>林業</h3><p>・個人や市から依頼を受けて草刈りや木の選定・伐採を行う。</p><h3>その他</h3><p>・山のイベントスタッフ、自身で企画した地域を盛り上げるイベント等の開催。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/05/27/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/NkAe5XqQhnZQKPqkgnlAI.webp"></figure><h2>地域おこし協力隊のやり甲斐はなんですか？</h2><p>地域がより良くなるために考え、実行することができます。使われていないものを活用したり、新たな地域資源を生み出すことが楽しいです。</p><p>特に林業では、自分が作った道や手入れをした森や畑を見ると達成感があります。通勤中や休憩中に自然や四季を感じることもやり甲斐につながっています。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/05/27/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/05IM0doQ1tRYlZD5P4GDC.webp"></figure><h2>地域おこし協力隊になって想定外だったことを教えて下さい。</h2><p>空き家が多いにもかかわらず、賃貸で住める住宅は少なく、価格も高く感じました。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/05/27/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/tizelFVV6e4gNKNd5-X72.webp"></figure><h2>卒隊後のビジョンがある場合は教えて下さい。</h2><p>林業を続けつつ、空き家を改修しコワーキングスペース・ネットカフェを開きたいと考えています。</p><p>デジタル技術の発展は、都市部よりも地方の方が活用できる幅が広いと個人的に感じています。自身のカフェが技術の発信、子供たちのIT教室になればいいなと思っています。</p><h2>養父市の住民と触れ合った際の印象と、裏付けるエピソードについて教えて下さい。</h2><p>地域の方は、勤勉で真面目な印象があります。平日は仕事、休日は畑仕事、夜は地域の雑用など、仕事を掛け持ちしながら生活している方が多く驚きました。</p><h2>養父市の魅力について教えて下さい。（自然やグルメ、オススメスポットなど）</h2><p>養父市の八鹿町伊佐にあるカフェ「ベリッタ」のミートタワーは、ボリューム満点で、一般成人男性でも食べきれるか心配になるほどです。ここでは養父市名産の八鹿豚も味わえるので、ぜひ行ってみてください！！</p><h2>移住を検討している方にメッセージをお願いします。</h2><p>物流やネット回線網が発達したおかげで、今日頼んだ宅配物は翌日に届きます。ネット回線は都会よりも格段に早いと感じています。</p><p>空き家をうまく活用すれば、広く自由にできる住居を格安で手に入れることができ、自然が好きなインドア派の方にとっては田舎の方が合っているのではないかと思っています。</p><p><strong>地域おこし協力隊の詳細についてはコチラ↓</strong><br><a href="https://warp.city/features/2" target="_blank" rel="nofollow noopener noreferrer">https://warp.city/features/2</a></p>

「地域おこし協力隊」とは、地方自治体が地域外の人材を「地域おこし協力隊」として任命し、地域の魅力PRや、農業・漁業への従事、イベントやお祭りの運営など、様々な地域協力活動を行ってもらい、その地域への定住・定着を図る、総務省の取り組みです。

自治体から地域おこし協力隊に委嘱される地域協力活動の内容はさまざま。
地域おこし協力隊の方々は、ふだん一体どのような仕事をしているのでしょうか。

ワープシティは、全国の地域おこし協力隊の隊員にご協力いただき、応募動機や仕事内容、仕事のやり甲斐などについてヒアリングをいたしました。
地域おこし協力隊への入隊をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください！

「地域おこし協力隊に聞きました！」第111回目にご協力いただいた地域おこし協力隊の方は、兵庫県養父市の瀬川滉介さんです。

兵庫県養父市の地域おこし協力隊、趣味・特技：パソコン・キャンプ・空手



瀬川 滉介

#111 養父市で自然と人に貢献！「一石三鳥」の地域おこし協力隊

<h2>地域おこし協力隊の応募動機について教えて下さい。</h2><p>小さい頃から昆虫を育てることが趣味でした。学生時代に一般人もお蚕さんの飼育ができることを知り、興味本位で飼ってみたところあまりにも楽しく嵌っていき、次第に養蚕業という世界に興味を持ち関わりたいと思うようになりました。</p><p>そんな時期に、偶然養父市の地域おこし協力隊の募集を見つけたのが始まりです。養父市は自分にとって未知の場所でしたが、養蚕に関する歴史や郷土を調べていくうちに、日本の養蚕業にとって歴史的な関わりがあることを知り、是非この場所で養蚕にチャレンジしてみたいと考えたのがきっかけです。</p><p>&nbsp;</p><h2>兵庫県養父市を選んだ理由について教えて下さい。</h2><p>「読めない市」として名前だけは認知していましたが、自分にとっては未知の場所だったので養蚕と関わりのある地域ということも全く知りませんでした。養蚕といえば群馬や愛媛、長野県などのイメージが強かったです。</p><p>ただ西日本側で養蚕に関する取り組みを行うのは珍しかったので、逆に興味を持って色々と調べていくうちに、日本の養蚕技術に影響を与えた「養蚕秘録」が生み出された場所だったことを知りました。「養蚕秘録」は当時の養蚕方法や注意点を分かりやすくまとめ、誰でも健康なお蚕さんを育てることができるよう作成された本です。</p><p>この本は全国に広まるだけでなく、のちにフランスをはじめヨーロッパ諸国に輸出されるほどの本でした。日本の養蚕業にとって歴史的な関わりがあるこの場所で養蚕をしてみたいと感じるのと同時に、こんなに養蚕と関わりがある地域なのに、今は養蚕農家さんが一人もいないという事実が余所者（よそもの）ながら悔しくなったため、思い切って応募いたしました。</p><p>&nbsp;</p><h2>地域おこし協力隊の仕事内容について教えて下さい。</h2><p>養父市大屋町の蔵垣という場所にある「かいこの里」を拠点として養蚕を行なっています。蚕期が始まると決まった時間に決まった量の桑を与え、掃除や飼育環境の整備をする必要があります。</p><p>忙しいですが私の性に合った作業です。春蚕と秋蚕の飼育を通して、この地域で主要だった棚飼いという養蚕の手法を身につけることができました。</p><p>効率的良く元気なお蚕さんを育てて、品質の良い繭を作ってもらうために必要な感覚や判断基準を培うことが仕事中の目標です。<br>また、養蚕業を進めるだけでなく、地元の学校等で若い世代に養蚕とお蚕さんという生き物を知ってもらうための活動を行っています。</p><p>地域の養蚕を復活させること、お蚕さんの持つ魅力と養父市の養蚕の歴史を知ってもらうことが活動のテーマです。</p><p><img src="https://storage.googleapis.com/uploads.warp.city/2023/05/06465efd-5-1.jpg" alt="蚕"></p><p><img src="https://storage.googleapis.com/uploads.warp.city/2023/05/194dca5e-4-1.jpg" alt="養蚕の作業をする石井明日香さん"></p><p>&nbsp;</p><h2>地域おこし協力隊のやりがいはなんですか？</h2><p>実際にお蚕さんを飼育して養蚕について勉強できることと、地元の方から養蚕に関するお話を伺えることです。今までは養蚕について知りたいと思っても、自分の身の回りにお蚕さんと関わったことのある人がほとんどいなかったため、文献やネットから情報を集めるしかありませんでした。</p><p>しかし、養父市には子供の頃、ご両親やご祖父母の養蚕業の手伝いをしていた方が多く、「この地域ではこんな飼い方をしていた、桑畑があった場所や桑の収穫・給桑はこうだった」など色々なことを惜しみなく教えてくれます。実際に経験された方々のお話ほど有り難いものはありません。</p><p>学生時代の少量の飼育と違って、現在は養蚕用の飼育施設をお借りして、去年は春に1,000頭、秋に3,000頭の規模で飼育させていただくことが出来ました。たくさんのお蚕さんを健康的にかつ効率よく育てるための判断を養う経験が必要不可欠だと考えています。</p><p><img src="https://storage.googleapis.com/uploads.warp.city/2023/05/90f17b9a-2-1.jpg" alt="養蚕の作業をする石井明日香さん"></p><h2>地域おこし協力隊になって想定外だったことを教えて下さい。</h2><p>難読の地名がとても多く、いまだに苦労していることです。「養父」という市名に限らず、初見で読める地名が少ないです。</p><p>地元の方ならともかく、市外の人に口頭で住所を教える場面では工夫しないと正しく伝わりません。気をつけてはいるのですが、まだ読み方を間違えて覚えている地名があるかもしれません。</p><h2>卒隊後のビジョンがある場合は教えて下さい。</h2><p>養父市で養蚕農家として独立することです。<br>繭を生産するだけでなく、お蚕さんの新しい活路の模索や今まで私が教えていただいた養父の養蚕の歴史や特徴を、誰かに引き継いでいけるような取り組みも一緒に行なっていきたいと考えています。</p><p>ゼロから始めることは本当に大変だろうし、今後は想像もしなかった困難が多々起きるとは思いますが、それでも挑戦してみる価値が養蚕という仕事と養父市という地域にはあるので、全力で取り組んでいきたいです。</p><h2>養父市の住民と触れ合った際の印象と、裏付けるエピソードについて教えて下さい。</h2><p>とにかく親切な人が多く、人同士の繋がりが強いのでいろんなことを教えていただいています。</p><p>「養蚕を勉強している」と言えば「自宅に蚕具が残っていたから譲ってあげる」「ご近所のお母さんは昔製糸工場で働いていたから何か経験談を聞けるのではないか」などなど地元の方に何度も助けていただきました。</p><p>参考になればとのご厚意で、とても貴重な資料を拝見したこともあります。衰退してしまったとはいえ、養蚕やお蚕さんに対して愛情を持っている方がとても多いです。</p><p>そんな地域で養蚕について学べていることはとても幸せだなと感じています。</p><h2>養父市の魅力について教えて下さい。（自然やグルメ、オススメスポットなど）</h2><p>養父市は美味しいもので溢れた場所です。野菜やお米はもちろん、特産品の朝倉山椒、お肉では但馬牛や八鹿豚、ジビエ料理もこだわりの品ばかりです。</p><p>日本海も近いので魚も新鮮で、冬はスーパーに蟹が並びます。気を抜くとすぐに体重が増えてしまいますね。個人的な一押しはお酒です。</p><p>どのお酒も最高ですが「仙櫻」という年に一度しか出ない幻のお酒は格別です。あの熟したメロンのような風味は忘れることができません。この美味しさは実際に飲んでいただきたいです。</p><h2>移住を検討している方にメッセージをお願いします。</h2><p>養父市には移住したい人向けの窓口があります。実際に移住した人の話や、お試しの短期田舎暮らしを活用して養父市の魅力や特徴を知っていただきたいです。</p><p>もともと4つの町が合併してできた市なので、場所によって特色があります。どこに行っても楽しいです。じっくり吟味して自分の生活スタイルにあった地域を見つけてください！</p><p><strong>地域おこし協力隊の詳細についてはコチラ↓</strong></p><p><a href="https://warp.city/features/2" target="_blank" rel="nofollow noopener">https://warp.city/features/2</a></p><p>&nbsp;</p>

「地域おこし協力隊」とは、地方自治体が地域外の人材を「地域おこし協力隊」として任命し、地域の魅力PRや、農業・漁業への従事、イベントやお祭りの運営など、様々な地域協力活動を行ってもらい、その定住・定着を図る、総務省の取り組みです。

自治体から地域おこし協力隊に委嘱される地域協力活動の内容はさまざま。
地域おこし協力隊の方々は、ふだん一体どのような仕事をしているのでしょうか。

ワープシティは、全国の地域おこし協力隊の隊員にご協力いただき、応募動機や仕事内容、仕事のやりがいなどについてヒアリングをいたしました。
地域おこし協力隊への入隊をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください！

「地域おこし協力隊に聞きました！」第25回目にご協力いただいた地域おこし協力隊の方は、兵庫県養父市の石井明日香さんです。

兵庫県養父市の地域おこし協力隊、趣味・特技：昆虫採集

養父市

養父市の移住体験談一覧：4件

#145 養父市で広がる温かなサポート。町を元気にする「おせっかい焼き」の看護師！

養蚕農家として独立を。養父市で「お蚕さん」を育てる地域おこし協力隊の挑戦

#111 養父市で自然と人に貢献！「一石三鳥」の地域おこし協力隊

#25 兵庫県養父市の養蚕を復活させ、養蚕の魅力や歴史を広げたい