移住者プロフィール
石井 明日香さん
兵庫県養父市の地域おこし協力隊、趣味・特技:昆虫採集
目次
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地域おこし協力隊の応募動機について教えて下さい。
小さい頃から昆虫を育てることが趣味でした。学生時代に一般人もお蚕さんの飼育ができることを知り、興味本位で飼ってみたところあまりにも楽しく嵌っていき、次第に養蚕業という世界に興味を持ち関わりたいと思うようになりました。
そんな時期に、偶然養父市の地域おこし協力隊の募集を見つけたのが始まりです。養父市は自分にとって未知の場所でしたが、養蚕に関する歴史や郷土を調べていくうちに、日本の養蚕業にとって歴史的な関わりがあることを知り、是非この場所で養蚕にチャレンジしてみたいと考えたのがきっかけです。
兵庫県養父市を選んだ理由について教えて下さい。
「読めない市」として名前だけは認知していましたが、自分にとっては未知の場所だったので養蚕と関わりのある地域ということも全く知りませんでした。養蚕といえば群馬や愛媛、長野県などのイメージが強かったです。
ただ西日本側で養蚕に関する取り組みを行うのは珍しかったので、逆に興味を持って色々と調べていくうちに、日本の養蚕技術に影響を与えた「養蚕秘録」が生み出された場所だったことを知りました。「養蚕秘録」は当時の養蚕方法や注意点を分かりやすくまとめ、誰でも健康なお蚕さんを育てることができるよう作成された本です。
この本は全国に広まるだけでなく、のちにフランスをはじめヨーロッパ諸国に輸出されるほどの本でした。日本の養蚕業にとって歴史的な関わりがあるこの場所で養蚕をしてみたいと感じるのと同時に、こんなに養蚕と関わりがある地域なのに、今は養蚕農家さんが一人もいないという事実が余所者(よそもの)ながら悔しくなったため、思い切って応募いたしました。
地域おこし協力隊の仕事内容について教えて下さい。
養父市大屋町の蔵垣という場所にある「かいこの里」を拠点として養蚕を行なっています。蚕期が始まると決まった時間に決まった量の桑を与え、掃除や飼育環境の整備をする必要があります。
忙しいですが私の性に合った作業です。春蚕と秋蚕の飼育を通して、この地域で主要だった棚飼いという養蚕の手法を身につけることができました。
効率的良く元気なお蚕さんを育てて、品質の良い繭を作ってもらうために必要な感覚や判断基準を培うことが仕事中の目標です。
また、養蚕業を進めるだけでなく、地元の学校等で若い世代に養蚕とお蚕さんという生き物を知ってもらうための活動を行っています。
地域の養蚕を復活させること、お蚕さんの持つ魅力と養父市の養蚕の歴史を知ってもらうことが活動のテーマです。
地域おこし協力隊のやり甲斐はなんですか?
実際にお蚕さんを飼育して養蚕について勉強できることと、地元の方から養蚕に関するお話を伺えることです。今までは養蚕について知りたいと思っても、自分の身の回りにお蚕さんと関わったことのある人がほとんどいなかったため、文献やネットから情報を集めるしかありませんでした。
しかし、養父市には子供の頃、ご両親やご祖父母の養蚕業の手伝いをしていた方が多く、「この地域ではこんな飼い方をしていた、桑畑があった場所や桑の収穫・給桑はこうだった」など色々なことを惜しみなく教えてくれます。実際に経験された方々のお話ほど有り難いものはありません。
学生時代の少量の飼育と違って、現在は養蚕用の飼育施設をお借りして、去年は春に1,000頭、秋に3,000頭の規模で飼育させていただくことが出来ました。たくさんのお蚕さんを健康的にかつ効率よく育てるための判断を養う経験が必要不可欠だと考えています。
地域おこし協力隊になって想定外だったことを教えて下さい。
難読の地名がとても多く、いまだに苦労していることです。「養父」という市名に限らず、初見で読める地名が少ないです。
地元の方ならともかく、市外の人に口頭で住所を教える場面では工夫しないと正しく伝わりません。気をつけてはいるのですが、まだ読み方を間違えて覚えている地名があるかもしれません。
卒隊後のビジョンがある場合は教えて下さい。
養父市で養蚕農家として独立することです。
繭を生産するだけでなく、お蚕さんの新しい活路の模索や今まで私が教えていただいた養父の養蚕の歴史や特徴を、誰かに引き継いでいけるような取り組みも一緒に行なっていきたいと考えています。
ゼロから始めることは本当に大変だろうし、今後は想像もしなかった困難が多々起きるとは思いますが、それでも挑戦してみる価値が養蚕という仕事と養父市という地域にはあるので、全力で取り組んでいきたいです。
養父市の住民と触れ合った際の印象と、裏付けるエピソードについて教えて下さい。
とにかく親切な人が多く、人同士の繋がりが強いのでいろんなことを教えていただいています。
「養蚕を勉強している」と言えば「自宅に蚕具が残っていたから譲ってあげる」「ご近所のお母さんは昔製糸工場で働いていたから何か経験談を聞けるのではないか」などなど地元の方に何度も助けていただきました。
参考になればとのご厚意で、とても貴重な資料を拝見したこともあります。衰退してしまったとはいえ、養蚕やお蚕さんに対して愛情を持っている方がとても多いです。
そんな地域で養蚕について学べていることはとても幸せだなと感じています。
養父市の魅力について教えて下さい。(自然やグルメ、オススメスポットなど)
養父市は美味しいもので溢れた場所です。野菜やお米はもちろん、特産品の朝倉山椒、お肉では但馬牛や八鹿豚、ジビエ料理もこだわりの品ばかりです。
日本海も近いので魚も新鮮で、冬はスーパーに蟹が並びます。気を抜くとすぐに体重が増えてしまいますね。個人的な一押しはお酒です。
どのお酒も最高ですが「仙櫻」という年に一度しか出ない幻のお酒は格別です。あの熟したメロンのような風味は忘れることができません。この美味しさは実際に飲んでいただきたいです。
移住を検討している方にメッセージをお願いします。
養父市には移住したい人向けの窓口があります。実際に移住した人の話や、お試しの短期田舎暮らしを活用して養父市の魅力や特徴を知っていただきたいです。
もともと4つの町が合併してできた市なので、場所によって特色があります。どこに行っても楽しいです。じっくり吟味して自分の生活スタイルにあった地域を見つけてください!
地域おこし協力隊の詳細についてはコチラ↓