移住者プロフィール
遠藤 良太さん
山梨県甲州市の地域おこし協力隊、趣味・特技:カメラ
目次
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地域おこし協力隊の応募動機について教えて下さい。
移住前は飲食が好きなグラフィックデザイナーでした。今の受け入れ先である「株式会社ROOTS」の代表とは専門学校での同級生です。
なぜ美味しいのか?など理由を知り、視覚的に分かりやすく発信することに興味がありました。農業をやっているROOTSの代表と何か面白いことができるのでは!?と思い移住を決意しました。
地域おこし協力隊の制度を使うことについて、あまり知らなかったということもあり、初めは意識していませんでした。でもこの制度を使う事によって、いろいろな方と出会えるチャンスが増えていることを実感しています。
定住するためのスキル、仕事を身につけ甲州市の特産物の美味しい理由を探りつつ、地域おこしが出来るよう活動しています。
山梨県甲州市を選んだ理由について教えて下さい。
きっかけは、甲州市で農業と6次産業に取り組む旧友から、デザイナースキルを活用した商品の魅力アップと地域の魅力発信に協力してほしいと頼まれたからです。
彼は農業による雇用の確立や新商品の開発に意欲的であり、自社を起点に地域農業の活性化に取り組んでいます。そのために地域おこし協力隊制度を活用すべく、市に提案し、隊員受入の支援機関となっていることを知りました。
彼から熱のこもった話を聞き、何度も足を運び現地の状況を確認する中で、甲州市の良さを知り、果物の美味しさに驚きつつ、この地の農業に魅力と可能性を大きく感じました。それで隊員への応募を決断しました。
地域おこし協力隊の仕事内容について教えて下さい。
- 受け入れ先ROOTSでの活動や目標
活動内容
世界農業遺産にも認定されている山梨県甲州市は、果樹栽培に適した土壌と昼夜の寒暖差が激しい環境、そして高い技術力で高品質なブドウ、モモ、干柿、スモモ、サクランボなどが生産できる、日本の果樹栽培の中心地です。
しかし、担い手不足や耕作放棄地の増加、悪天候による作物への被害など全国的に農業が抱える問題に甲州市も直面しています。 ROOTSでは、参入が難しい農業に新規事業者として参入し12年目を迎えています。
生産から加工、販売を行う第6次産業化や独自のルートで販路を開拓し 高品質なブドウ、モモ、干柿の販売を行い安定した強い農業経営を目指しています。 地域おこし協力隊としてはROOTSがこれまで培ってきたノウハウをベースに、さらに事業を拡大する一因として、農作業や食品加工、地域を巻き込んだブランド作りを目標にしています。
研修内容
・土づくり、土壌管理(作物別に施肥の計画が立てられるなど)
・畑の基本的な管理(草刈り、機械の操作方法、道具のメンテナンスなど)
・モモの栽培(剪定、摘蕾、摘果、袋掛け、収穫、選果など)
・ブドウの栽培(剪定、誘引、房づくり、摘粒、収穫など)
・柿の栽培(剪定、防除など)
・ころ柿の生産(皮むき、乾燥など)
・ブドウの施設栽培
・圃場の確保の仕方、賃借の仕方
・経営計画の立て方
・農産加工の知識と技術
・商品開発のプロセス
・SNSを使った情報の発信
・動画の撮影、編集 - 市役所で使用するチラシ作り、甲州市の観光地であるぶどうの丘からの撮影依頼、小学校の運動会の撮影などの地域活動など
地域おこし協力隊のやり甲斐はなんですか?
知らないことを知る面白さです。オフィスやパソコンの中だけではない広大な自然を味わうことができます。
これまではパソコンを武器にインドアでデスクワーク、アイデアとセンスで勝負する世界にいました。しかしここでの隊員活動のベースが農業である私は、今では圃場で先輩農家が磨き上げてきた栽培技術を覚え、天気を読み、来週再来週の成長を想像して作業するなど、実はとても科学的な思考で農業に取り組んでいます。サバイバル能力の向上にもつながっていると思います。
これまでの人生とは大きく方向転換していることを実感します。全国的には農業以外にも協力隊の活動は広がっていると思いますが、知らないことを知り、出来なかったことが出来るようになる、新しい自分を作っていけることがやり甲斐だと思います。
地域おこし協力隊になって想定外だったことを教えて下さい。
支援機関の指示のもと、農業技術の習得と地域おこし活動に取り組んでいますが、行政が委嘱し管理する地域おこし協力隊なので、もっとガチガチでお堅いイメージを持っていました。
ところが、実際に活動に取り組むと行政とは毎月の報告ミーティングはありますが、それ以外は活動方針や考え方の微調整の指示だけで、概ね自分と支援機関の相談で活動を拡げています。この良い意味での緩さは想定外でした。
ただし、役所内でデスクワークをするような制度で運用されている自治体もあるそうなので、要注意です。
退任後のビジョンがある場合は教えて下さい。
農業の知識を増やし、今までのスキルで美味しい理由をグラフックや動画、写真で発信するデザイン事務所を設立することです。プラス何かできるか模索中です。
日々の農作業に合わせて、その時の植物の状況や作業内容などを、写真や動画で撮り溜めています。専業農家だと作業に追われ、なかなか記録や画像をとることが難しいので、これは協力隊である自分の特権、責務だと思っています。
成育過程や作業のきめ細かさ、大変さを上手く伝えられれば、その作物の付加価値を向上することにつながると思うので、これをライフワークにしていきたいと思います。
甲州市の住民と触れ合った際の印象と、裏付けるエピソードについて教えて下さい。
活動エリアにある小学校ではモモの農作業を体験する総合学習の時間があり、産地ならではのお付き合いのある農家さんたちと体験指導にいき、子供たちと触れ合い、その記録写真を撮っています。子供たちの素直な反応とキラキラ輝く笑顔に癒されます。
その延長として校長先生から、学校行事の記録写真の撮影をお願いされることとなり、運動会やマラソン大会などに赴き撮影しています。
結果として、保護者さんとお話するようになったり、知り合いになったりして、自身の活動内容をお話しするにあたり、写真やデザインの相談を受けるようになってきています。
甲州市の魅力について教えて下さい。(自然やグルメ、オススメスポットなど)
まずは何といっても特産であるブドウ・モモの美味しさがあげられます。これはぜひ全国の皆さんに知ってもらいたいと思います。
春にはモモの花が咲き誇り、扇状地に広がるピンクの絨毯のような景観も必見です。秋にはブドウの葉の紅葉も楽しめます。
品種により微妙に異なる色づきはパッチワークのような美しさをもたらします。夏は、ブドウ・モモの葉が緑濃く空の青さと相まって、豊かな田園風景をつくります。
農作業の疲れをいやす温泉もおすすめです。市内には宿泊施設のある塩山温泉郷や日帰り入浴施設も多数あります。
公営のぶどうの丘温泉「天空の湯」は盆地が一望できる高台にあり、夕日が沈むころから夜景まで、ゆっくり楽しむのがおすすめです。
移住を検討している方にメッセージをお願いします。
見ず知らずの土地や職業に飛び込んでいくのは相当な勇気が要りますが、現状を変えたいと思っているのならば、挑戦する価値はあると思います。
ただし、自身の価値観はひとまず封印して、「郷に入っては郷に従え」を実践することが、その地の人や文化を尊重することになると思います。甲州市には気軽に移住体験ができる「お試し住宅」もありますので、ぜひ一度、田舎暮らしを体験しに来てください。
地域おこし協力隊の詳細についてはコチラ↓