移住者プロフィール
村上 大貴さん
利用した支援制度
地域おこし協力隊
長野県松川村の地域おこし協力隊、趣味・特技:写真撮影・動画制作・登山
目次
INDEX
地域おこし協力隊の応募動機について教えて下さい。
松川村の地域おこし協力隊に応募したのは、自分の経験が役に立つと確信したからです。
2023年4月から約1年間、夫婦で車中泊をしながら日本一周の旅をしていました。その旅の途中、美しい景色が広がる松川村を訪れ、自然の豊かさや魅力的な暮らしに心惹かれ、移住を決意しました。
ただし、旅をしながらの生活だったため、移住を実現するには新たな仕事が必要でした。そんな中、松川村で地域おこし協力隊の募集があることを知り、そのミッションが「移住定住促進」と「空き家対策」であるとわかりました。
これらの取り組みは、日本各地を実際に見て回り、その結果として松川村を選んだ私の経験を活かせる絶好の機会だと感じました。そこで、すぐに応募を決意しました。
長野県松川村を選んだ理由について教えて下さい。
日本一周の旅をしている中で、「住んでみたい」と思える街はいくつかありましたが、実際に住む自分を想像し、「住める」と確信できたのは松川村だけでした。松川村の第一印象は、「とにかく美しい村」でした。
田畑が広がるどこまでも続く景色、その奥に遮るものなくそびえる北アルプスの山々、透明度の高い川、そして山から吹き下ろす心地よい風。そのすべてが魅力的で、自然とこの風景の中で暮らしてみたいと思うようになりました。その後の旅の間も、松川村への移住が頭から離れませんでした。
旅を終えた後、12月の真冬にお試し住宅を利用して実際に生活してみたり、村の周辺をドライブするなどして、松川村についてさらに知る機会を持ちました。その結果、意外にもこの地域が雪が少ないことや、近くにスーパーやドラッグストアなど日常的に必要な店舗が揃っており、利便性が非常に高いことが分かりました。
理想の暮らしを考える中で、のどかな自然と利便性はトレードオフになることが多いものです。しかし、松川村はその両方を高いレベルで兼ね備えており、「ここでなら理想的な暮らしができる」と確信しました。このような理由から、松川村への移住を決意したのです。
地域おこし協力隊の仕事内容について教えて下さい。
私は「移住定住促進」と「空き家対策」をミッションに掲げ、現在は松川村役場の総務課で活動しています。松川村の美しい景色に魅了され、移住を希望する方々が多く相談に訪れるため、同じ移住者として、自身の実体験を交えながら親身に対応することを心がけています。その結果、移住を決意し、すでに松川村で新たな生活をスタートされた方もいらっしゃいます。
また、年に数回、首都圏や関西圏で移住相談会を開催しています。そこでは、移住を漠然と考えている方に対して、“なぜ移住をしたいのか”や“理想の暮らし”について丁寧にヒアリングし、その方に合った提案を行うよう努めています。松川村が理想の暮らしに適していると感じた場合は、村の魅力をしっかりとお伝えし、移住への具体的な道筋をご案内しています。
一方で、移住希望者が増加している一方で、住居不足という課題に直面しています。村内にはアパートがあるものの、空室がすぐに埋まってしまうことが多く、住居が見つからないため移住を断念するケースもあります。
松川村には多くの空き家が存在し、雑草や樹木が近隣に影響を及ぼすなど、地域全体の課題にもなっています。これらの空き家を移住者向けの住居として活用できれば、移住希望者と地域双方にとって大きな価値を生み出せると考えています。
今後は、移住定住促進に加え、空き家対策にも重点を置き、松川村に関わるすべての人が心地よく暮らせる村づくりを目指して取り組んでいきたいと考えています。
地域おこし協力隊のやりがいはなんですか?
一番のやりがいは、「自分が直接的に村づくりに関わっている」と実感できることです。私のミッションである移住定住促進と空き家対策は、いずれも村の総合計画の重要な一部を担っており、村づくりにとって欠かせない業務です。
全国的な少子高齢化や都市部への人口集中により、松川村でも人口維持と空き家対策は喫緊の課題となっています。しかし、小さな組織である村では、この業務に従事している人員は私を含めてわずか二人という状況です。
だからこそ、地域おこし協力隊である私の意見も、職員の一人として重要視されます。一見風変わりなアイデアであっても、前向きに検討してもらえる環境があることは大きな励みです。
協力隊1年目の今年は、まず村のことを深く知ることを最優先に、村が抱える課題や求められる解決策を幅広く把握することに努めています。収集した情報をもとに、来年度以降はいくつかのアイデアをプロジェクトとして立ち上げ、具体的な形にしていく予定です。
最終的にはそのプロジェクトを通して、地域の人はもちろん、移住者にとっても住み心地の良い村作りに貢献できるように励んでいきたいと考えています。
地域おこし協力隊になって想定外だったことを教えて下さい。
地域おこし協力隊として松川村に移住して、想定外だったことの一つは、登山をする機会がめっきり減ってしまったことです。もともと登山が趣味で、移住前から北アルプスや日本百名山を目指して精力的に登っていました。松川村を移住先に選んだ理由の一つにも、「長野県には百名山がたくさんあり、いつでも気軽に登山に出掛けられる」という点がありました。
ところが、いざ移住して迎えた今年初の夏シーズンは、百名山への挑戦がゼロに終わりました。登山自体も近所の低山に2回登っただけで、気づけば秋になっていたのです。理由としては、週末の天気や予定が合わなかったり、地域おこし協力隊としての仕事が忙しかったりといったこともありますが、一番大きな理由は「登らずとも満たされていた」ことだと思います。
晴れた日には、家の玄関から北アルプスの蓮華岳や白馬岳を一望でき、役場へ自転車で出勤する際には、大天井岳や有明山を眺めながら爽やかな風を感じ、季節の移ろいを肌で実感できます。そうした生活の中で、いつの間にか登山をしなくても心が満たされている自分に気づきました。
百名山を登るために移住を決めた松川村で、逆に登らない結果になるとは想像していませんでしたが、それだけ日々の生活が充実している証拠だと思います。地域おこし協力隊として松川村に移住し、この地での暮らしが私にとって本当に豊かであることを改めて実感しています。
卒隊後のビジョンがある場合は教えて下さい。
卒隊後は、地域に根ざした活動をしながら、個人事業主として松川村に定住をしたいと考えています。
具体的な活動内容はまだ模索中ですが、例えば移住定住促進の延長として、SNSを活用した村のPR事業に取り組むことや、協力隊が事業を立ち上げる際の資金調達手段としてクラウドファンディングの立ち上げ支援を行うことを検討しています。私自身も来年度にクラウドファンディングに挑戦する予定であり、その経験を活かせればと思っています。
卒隊までにはまだ2年以上の時間があるため、地域の現状をしっかりと見極め、村にとって必要な取り組みを見つけたいと考えています。村の皆さんに喜ばれるような活動を通じて、地域に溶け込み、「村人の一員」として自然に受け入れてもらえるよう努めていきたいと思っています。
松川村の住民と触れ合った際の印象と、エピソードも添えて教えて下さい。
地域の人々と触れ合った際の第一印象は、「とにかく移住者を暖かく迎え入れてくれる村だな」というものでした。松川村では、毎年8月の第一土曜日に「松川ふるさと祭り」という村をあげた大イベントが開催されます。
今年は、地域おこし協力隊をより多くの方に知ってもらうため、有志メンバーでラーメンの屋台を出店しました。当日は猛暑日でラーメンの販売は苦戦するかと思われましたが、それでも多くの方が屋台を訪れ、「美味しい!」と言いながらラーメンを食べてくださいました。
そのときに、私に対して「松川村に来てくれてありがとう」や「来てくれて本当に嬉しいと思っている」といった温かい言葉をかけていただき、心が温まる思いでした。地域の中学生からは「また来年もラーメンの屋台を出してほしい」とリクエストをいただき、同じ役場の職員の方は「周りにも配る」と何杯も買ってくださいました。その結果、最終的には300杯近いラーメンを売り上げることができ、大成功を収めました。
松川村にはもともと移住者が多く、地域の方々が移住者を温かく受け入れているという話を耳にしていましたが、このエピソードを通じて、それを実感することができました。このような村の懐の深さが、松川村の魅力のひとつだと思います。
松川村の魅力について教えて下さい。(自然やグルメ、オススメスポットなど)
松川村の魅力は、なんといっても至るところから見える北アルプスと田んぼの景色です!
春には、雪をまとった北アルプスが田植えに備えて水を張った田んぼの水鏡に映り込み、その美しさに思わず見惚れてしまいます。夏になると、雪が溶けて現れる力強い山肌と、青々と茂る稲が風に揺れる姿に元気をもらえます。秋には、少しずつ紅葉が進む鮮やかな木々と黄金色に輝く稲穂が、心に癒しを与えてくれます。そして、これから迎える冬には、雪をまとった山々と広がる田んぼが、また違った美しい風景を見せてくれることでしょう。
さらに、松川村の魅力は景色だけに留まりません。村内には美味しいご飯どころがたくさんあり、規模は小さな村でありながら、都会にも引けを取らないほどの素晴らしい魅力が詰まっています。この村での暮らしは、自然の美しさと美味しい食の両方を満喫できる、特別なものだと感じています。
移住を検討している方にメッセージをお願いします。
松川村は、本当に魅力的な村です。しかしそれは当たり前にあるものではなく、先人たちが懸命に開拓し、そしてその景色を守ってきたからこそある景色です。
しかしながら、そこに人がいなければ景色を守り続けることは叶いませんし、そんな村に人が集まるためには、さらなる魅力が必要なのかもしれません。 変わらないことである魅力と、変わっていくことで生まれる魅力と、そのどちらもがこれか らの松川村には必要なことだと思います。
そんな松川村に興味を持って、村が大切にしているものを同じように守りつつ、けれども新しい変化を起こしてさらなる魅力を生み出したいと考えている方がいれば、ぜひ一度移住相談窓口までお越しください。私がその魅力をたっぷりとお伝えし、松川村への移住をそっと後押しをします。
そして一緒に村作りに関わって、より良い松川村を共に作り上げていきましょう!
地域おこし協力隊の詳細についてはコチラ↓
https://warp.city/features/2