移住者プロフィール
中村知香さん
利用した支援制度
地域おこし協力隊
長野県安曇野市の地域おこし協力隊、趣味・特技:登山・早起き
目次
INDEX
地域おこし協力隊の応募動機について教えて下さい。
私の出身は、九州の熊本県です。もともと山登りが好きで、信州の山をたくさん登りたいと思っていました。そこで、信州甲信越への移住を検討していたところに出会ったのが、安曇野市の地域おこし協力隊の募集でした。
ミッションは「天蚕(てんさん)のブランディング」です。
天蚕の言葉自体を初めて知ったため調べてみると、養蚕業(ようさんぎょう)の一つだとわかり、興味を惹かれました。
絹からできる織物などの伝統工芸のひとつであり、化粧品や医療品など研究開発が進んでいる一方、後継者不足の状態であることが分かりました。自分がその手助けになれたら嬉しいな、という気持ちで応募しました。
長野県安曇野市を選んだ理由について教えて下さい。
理由は二つです。
①天蚕に興味を持ったから
②登山をする上で、北アルプス、八ヶ岳、中央アルプス、南アルプスへアクセスしやすいから
中でも決め手になったのは、安曇野市が登山スポットへのアクセスが良い環境だからです。また、かねてから山の麓(ふもと)もしくは、山が見えるところに住みたいと思っていました。
念願かなって、現在は、北アルプスがよく見えるとはいえないほど山に近いところに住んでいるので、山の一部になったような気持ちでいます。その気持ちの上で、天蚕というお仕事に巡り合えたと思っています。
地域おこし協力隊の仕事内容について教えて下さい。
地域おこし協力隊としてのミッションは「天蚕の振興」です。
天蚕とは、白いおカイコさんの養蚕業と違い、緑の幼虫、緑の繭を作り、緑の糸がとれる野蚕(やさん)と呼ばれる絹糸昆虫の一種です。
天蚕からとれる糸は、絹織物の世界では「繊維のダイヤモンド」と言われるほど希少なものです。特に、穂高天蚕糸は京の織物などで高い評価を受けており、織物の世界ではブランドとして確立されています。
しかしながら、糸の生産という面でいうと、屋外で飼育するため自然相手のお仕事になります。そのため、生産量は少ない上に安定しません。天蚕の飼育をされる方も高齢化が進み、担い手不足が課題となっています。
そのため、地域おこし協力隊として天蚕を地域に広げる活動や、実際に、天蚕を育て糸をとる生産者としてのお仕事をしています。天蚕農家としては未熟ですが、現在行っている飼育方法を学ぶことで、次世代に繋げる役割ができれば、と考えています。
地域おこし協力隊のやり甲斐はなんですか?
天蚕をお仕事にすること自体が、どこの地域にもないことだと思います。
天蚕の飼育、糸をとる繰糸、製糸、機織など、「完全手工業」の作業に関わることができるのは、日本でただ一つ、安曇野市だけだと思います。
屋外で天蚕を育てたり、飼料のクヌギを育てたり、土壌を管理するなどの農業的な要素が強いため、自然や生き物との関わり方などを考えることが多くなってきました。さらに、江戸時代から続いている産業の一つでもあり、下火となった今でも、細々と続けられています。
「未来に繋げていこう」と努力している地域の人たちと関わることができましたし、地元の小学校や幼稚園と関わることができたのは、大きなやりがいとなりました。
天蚕を育て糸をとる仕事をしながら地域の人たちと関わることで、自然や歴史などを考えるきっかけを頂いたと思います。それは、「地域おこし協力隊」という形で関わったからこそできたことだと思います。
地域おこし協力隊になって想定外だったことを教えて下さい。
安曇野に移住して、今年で2回目の冬を迎えました。
私が住む山に近い場所、そして築年数が経っている借家は、冬の寒さが予想外・・というより予想以上の寒さでした。
雪は思っていたよりも少なくて安心しましたが、それ以上に、凍てつく寒さが心に残っています。とにかく、寒くて寒くて痛いです。
私は九州育ちですので、そもそも厳冬期の過ごし方を知りません。12月から2月の寒さは、まるで別世界です。
去年の初めての冬は、台所、洗面所、洗濯機、お風呂、トイレ、すべて凍りました。冷蔵庫は凍らないように保存するところだと聞いていましたが、本当にその通りです。
台所に置いておくととにかくすべて凍るので、冷蔵庫に入れます。ですが、冷蔵庫内でも凍っていました。
冬は、寒くて痛くて困ることが多かったのですが、地元の方々がとても親切に教えてくれたり、気にかけてくれたので、なんとか過ごすことが出来ています。冬は寒いけど、安曇野の人は温かい人が多いです。
卒隊後のビジョンがある場合は教えて下さい。
具体的なビジョンはまだなくて真っ白ですが、山が好きで安曇野に移住したので、山や自然に関わる仕事をしたいと思っています。
天蚕関係で知り合いも増えましたので、この縁を大事にし、これから先もよい関係でありたいと思います。
そのために、自分にできる範囲で協力することで、つながっていきたいと思います。
安曇野市の住民と触れ合った際の印象と、エピソードも添えて教えて下さい。
幸運なことに、良い人たちと巡り合うことができました。
一人目は、大家さんです。家を探す際に、とても大きな力となってくれました。
大家さんのおかげで、安曇野に住み続けていられると感じています。
二人目は、天蚕でお世話になっている85歳の農家さんです。
天蚕のイロハから、人生のこと、人間関係のことなど、いろんなお話をしてくださいます。私が、天蚕に興味を持って取り組めているのは、この方のおかげです。
三人目は、天蚕の糸で作品を作っているアクセサリー作家さんです。
糸といえば織物がメイン、成分を利用した化粧品などが開発されている中で、糸だけを使って、アクセサリーやアート作品を作っておられる方です。心の中で「安曇野の母」と呼んでおり、仕事やプライベートの話などなんでも話せる方です。地元育ちの方なので、安曇野についてもいろいろ教えてもらえるので、とても頼りにしています。
安曇野市の魅力について教えて下さい。(自然やグルメ、オススメスポットなど)
私は春~夏の安曇野が好きです。
前述の通り、安曇野、特に山麓エリアは冬の寒さがとても厳しいところです。(もちろん寒さの感じ方は個人差あり)
底冷えし凍えるような寒さですが、お花が咲き始めると「ちゃんと春はやってくるんだな」と、ほっとします。
暖かくなってくると、次第に北アルプスの雪解けが始まります。雪形を探して楽しむことも魅力の一つです。
夏は、カラッとした暑さがいいです。私のふるさとである熊本は、湿度が高く、じめじめした蒸し暑さでしたが、安曇野はカラッとして日影に入るととても涼しいです。空が青く高く見えるのも魅力的です。
このような日々の季節の移ろいは、住んでいるからこそ体験できる、分かる、楽しめることだと思います。3,000m級の山々、北アルプスの麓の安曇野は、豊かな四季の移り変わりを見せてくれます。
さらに、その北アルプスの雪解け水が安曇野に湧き出ているのも魅力的です。いつも安曇野の里という複合施設で湧水を汲んでいます。とてもおいしいです。
移住を検討している方にメッセージをお願いします。
私は、山が好きで安曇野に移住しました。
ふるさと熊本を離れるのは、寂しい思いもありましたし、引っ越した当初は、友達も知り合いもいなくて独りぼっちでした。
ですが、安曇野に住んで、仕事をして、山に登っているうちに、今では、地元の方のお友達や、移住仲間、山仲間、天蚕仲間もできました。「移住」というと不安になってしまうことも多いかと思いますが、安心していいと思います。
安曇野の人は、とても親切な方が多いです。困っている人には必ず協力してくれます。
ぜひ、安曇野に来て、住んで、一緒に山を登りましょう!案内します。
地域おこし協力隊の詳細についてはコチラ↓
https://warp.city/features/2