移住者プロフィール
松尾 大さん
所在地:長野県安曇野市、業種:地域おこし協力隊(空き家利活用)、家の築年数:45年ほど(厳密には不明)
目次
INDEX
- どのような経緯で空き家に住むことを決意しましたか?
- 空き家を見つけるために利用した手段やサービスについて教えてください。
- 入居前の空き家の状態や実施した修繕、リフォームの内容について教えてください。
- 支援制度を活用した場合は詳細を教えてください。
- 空き家暮らしを始めてからの日常生活の変化や感じたことを教えてください。
- 空き家暮らしで困ったこと、苦労したことについて教えてください。
- 地域の人々との交流や関係性の構築について大切だと感じることを教えてください。
- 今後も空き家での生活を続けたいか、その理由について教えてください。
- 地域の魅力について教えてください。
- 空き家暮らしを検討中の方に向けてアドバイスやメッセージをお願いします。
どのような経緯で空き家に住むことを決意しましたか?
移住を考えた際、中古物件をいきなり購入することには大きな不安がありました。そのため、最初から空き家バンクなどを利用して賃貸物件を探していましたが、賃貸物件の掲載数は購入物件に比べて非常に少ない状況でした。
毎日サイトをチェックし、通勤中の電車の中でも更新情報を確認し続け、本格的に2年ほどかけて探しました。何件も内見し、家族と相談を重ねた結果、ようやく理想的な借家を見つけることができました。
それまで何度も安曇野を訪れていましたが、「住む」という視点で見ると、これまでとは全く違った印象を受けました。実際に現地に足を運び、住む目線で探し始めたことで、地域の雰囲気や気候を肌で感じることができました。
その過程で「自分たちが求める住む条件」を整理することができ、その結果、良い物件と巡り合えたのだと実感しています。
空き家を見つけるために利用した手段やサービスについて教えてください。
空き家バンクやココスマ安曇野、スーモ、アットホームなどのネット検索を活用しながら、現地で開催されている「明科まちあるき空き家・空き店舗相談会」にも参加しました。
この「まちあるき」に参加したことで、地元の方々と繋がりを持つことができ、移住後の生活イメージを具体的に描けるようになりました。また、首都圏で開催されている移住相談会にも足を運び、積極的に現地の情報を収集していました。
入居前の空き家の状態や実施した修繕、リフォームの内容について教えてください。
母屋の残置物は無い状態でしたが、空き家の匂いは押し入れの中からしていたので、何度も拭き掃除をしました。現在、半年以上生活していますが、匂いはそこまで気にならなくなってきました。
お風呂の蛇口が壊れていましたが、借家なので大家さんの負担で直していただきました。お隣の「おじちゃん」が元水道屋さんだったこともあり、大家さんも「おじちゃん」に頼む間柄のようで、移住してからは良く気にかけてくれて助かっています。
納屋については、触らないで欲しいという大家さんとの約束があるのでそのままです。少し気になりますが、生活には全く支障はないです。
東京でも何度か引っ越しを経験しましたが、今回の引っ越しでは条件や約束ごとがあり、その点も含めて前向きに楽しみながら取り組むことができました。
また、リフォームについてはDIYが自由にできるとのことで、近くのホームセンターで材料を購入し、壁を若草色に塗り直してみました。この作業には子どもも喜んで参加し、家族で壁に色を塗る体験は良い思い出になりました。
支援制度を活用した場合は詳細を教えてください。
使える補助金は積極的に使った方がいいです。安曇野市では移住者向けの補助金や新婚さんへの補助金もあります。
私は空き家利活用をミッションにしているので、空き家に関する補助金を一つご紹介します。
安曇野市空き家バンクに掲載されている物件限定にはなりますが、移住される方の引越し費用を補助してくれる“移住者支援補助”は使いやすいと思います。安曇野市の引越し費用の1/3、最大10万円を補助してくれます。(2024年度現在)
他の市町村でも似たような制度があると思いますので、みなさんの移住活動の中で役所のサイトを見ることをお勧めします。分からない時には電話やZOOM相談をしている市町村もあるので、まずは調べてみてください。ちなみに、安曇野市もZOOMでオンライン相談可能です!
申請手続きの際、記入内容に誤りがあると再提出が必要になる場合があります。そのため、事前に制度内容を十分に理解し、正確に申請書を作成することで、手続きの時間を短縮できます。
空き家暮らしを始めてからの日常生活の変化や感じたことを教えてください。
空き家だった家に家族で暮らし始めた際、お隣の「おじちゃん」(88歳)から「久しぶりに子どもの声を聞けて嬉しい」と言われたとき、この土地に移住して本当に良かったと感じました。
周りの方々に助けていただくことも多く、東京でのマンション暮らしでは経験できなかった「近所付き合い」が新鮮で、とても嬉しく感じています。さらに、すぐ近くの使われていない畑を貸していただき、ネギを植えたところ、これが驚くほど美味しくて感動しました。
しかも、その畑作業もお隣の「おじちゃん」がうねを作り、マルチを張り、穴を開けるところまでしてくださり、私がやったのは苗を置くだけ(笑)。畑に通うのが楽しくなり、「おじちゃん」には本当にたくさんお世話になっています。
空き家暮らしで困ったこと、苦労したことについて教えてください。
困ったというより驚いたのは、屋根裏に大きな蜂の巣があったことです。スズメバチの巣で、サイズは60cm四方とかなり立派なものでした。
幸い、既に使われておらず、そのままでも問題ないとのことだったので、特に手を付けずにそのままにしています(笑)。気づいたきっかけは春先、家の中にアシナガバチが入ってきたことでした。その原因を調べてみると、天井に隙間があったためで、ふとその隙間を開けてみたら蜂の巣が現れ、驚きました。
古い家なので虫が隙間から入ってくるのはすぐに慣れました。隙間風が入る場所には畳をめくり、隙間シートを張るなど、古い家ならではの工夫を楽しみながら暮らしています。
地域の人々との交流や関係性の構築について大切だと感じることを教えてください。
一番大事なのは、最初のご挨拶だと思います。
私たちが引っ越してきた日に、不動産屋さんが事前にお隣さんや大家さんに連絡をしてくれていたようで、ご挨拶に来てくださいました。その際、ごみの出し方や回覧板の仕組み、地域の“区”(自治会)について教えていただき、とても助かりました。
“区”では、地域の清掃活動として川のゴミ拾いや、在来の生態系を壊す特定外来植物のアレチウリの駆除などを行っています。また、子ども夏祭りや大人向けのソフトボール大会など、地域全体で協力し合う交流の場もあります。
安曇野市には景観条例があり、地域の人々が協力して美しい景色を守り続けてきました。私もこの景色に憧れて移住してきたので、この取り組みにぜひ参加したいと思い、活動に加わらせていただいています。
東京に住んでいた頃は、地域の一員として生活している実感があまりありませんでしたが、自分の手で綺麗にした道を歩くと、思いのほか気持ちが良いものだと気づきました。
今後も空き家での生活を続けたいか、その理由について教えてください。
この場所でこれからも生活を続けていきたいと思っています。
車さえあれば生活に不便を感じることは全くなく、空気が美味しいことや、畑で収穫した新鮮な野菜をすぐに味わえること、そして日々変化する安曇野の美しい景色の中で暮らせていることなど、挙げればキリがありません。
空き家バンクを通じてこの物件に出会えたことは本当に良かったと思っています。今のところ、最高の移住ができたと実感しています。
また、安曇野を起点に近隣の地域へも気軽に遊びに行ける点も気に入っています。これからも山登りやキャンプ、観光など、この土地での生活を思い切り楽しみたいと思っています。
地域の魅力について教えてください。
移住してきて驚いたことの一つが、「水道水がおいしい!」ということです。安曇野市は綺麗な水が必要なわさび畑で有名ですが、水道水は北アルプスの雪解け水が地下に浸透した地下水を汲み上げているため、家庭の水道水もとても美味しいのです。
このおいしい水で炊いた安曇野のご飯は格別で、ついついおかわりをしてしまいます。また、近所は街灯が少なく夜は暗いのですが、そのおかげで星がとても綺麗に見えます。
実はこの星空の美しさに気づいたのは息子です。息子が教えてくれたおかげで、私たちも夜に星空を見上げる機会が増え、その美しさに感動しています。
空き家暮らしを検討中の方に向けてアドバイスやメッセージをお願いします。
空き家を使う大きなメリットは費用を抑えられることも一つですが、空き家だった物件にはその地の歴史の一部として、近所に住む方々の想いが詰まっていることが多く、地域の方々との繋がりを築きやすいこともメリットだと感じています。地域との交流を求めて地方移住を考えている方には、空き家の活用は特におすすめです。
地方に引越しをすることと、移住をすることは、求めているゴールに違いがあるように思います。わたしは地域の方と一緒に生活ができる気持ちの良い土地に移住をしたいと思い、長年探して見つけたのがこの安曇野でした。
みなさんの求める地方暮らしにはどんな想いがありますか?
実際に現地に足を運び沢山の方に自分の想いを伝えると、自ずと答えが見つかってくるのではないでしょうか。
安曇野市に訪れた際は、是非ご連絡をお待ちしています。みなさんにお会いできる日を楽しみにしています。