<h2>どのような経緯で空き家に住むことを決意しましたか？</h2><p>何年も前から、東京を離れて自然豊かな場所で暮らしたいと考えていました。東京は非常に便利で、自分を高めるには理想的な環境でした。しかし、年齢を重ねるにつれて、もっとゆったりとした環境で生活したいという思いが強くなりました。</p><p>東京では勤務医として働いていましたが、いつか自分のペースで運営できる医院を持ちたいという夢も心の中にありました。家族と話し合った結果、子どもが小さいうちに移住するのが良いタイミングだと感じ、ついに決意しました。</p><h2>空き家を見つけるために利用した手段やサービスについて教えてください。</h2><p>県外に住んでいたこともあり、現地へ足を運ぶ機会は限られていました。そこで、まずはインターネットを活用して不動産情報を検索することから始めました。気になる物件が見つかるたびに、何度か現地を訪れて確認を繰り返しました。</p><p>最終的に決めた家は、歴史を感じさせる古民家で、重厚感があり、まさに思い描いていた理想の家そのもの。見た瞬間に「ここだ！」と直感し、即決しました。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2025/01/06/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/fZdCMvWLz8lE4-3JlcMeI.webp"></figure><h2>入居前の空き家の状態や実施した修繕、リフォームの内容について教えてください。</h2><p>家はリフォーム済みでとてもきれいな状態でした。そのため、1階は古民家の良さを最大限に活かしつつ、診療室にする部屋だけを改修しました。</p><p>2階は子ども部屋として2つの部屋を改装しました。内装のデザインや色使いなどは、自分たちの好みに合わせて家族で話し合いながら決めました。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2025/01/06/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/0l0kt1A3oXw2yvPQbbIdx.webp"></figure><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2025/01/06/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/8EETO0xYvx22tU59vWhXn.webp"></figure><h2>支援制度を活用した場合は詳細を教えてください。</h2><p>支援制度の活用はありません。</p><h2>空き家暮らしを始めてからの日常生活の変化や感じたことを教えてください。</h2><p>生活の中でさまざまな面で「ゆとり」を感じられるようになったことが、最も大きな変化です。</p><p>たとえば、空間の面です。以前は東京で暮らしていたため、住まいは現在ほど広くありませんでした。部屋数には限りがあり、収納スペースも十分ではありませんでした。その結果、スペース不足のために諦めざるを得ないことがあったり、手狭さを感じることが多々ありました。しかし、今の住環境では部屋数にも余裕があり、収納スペースも十分すぎるほど確保されています。このおかげで、日常生活に大きなゆとりが生まれました。</p><p>また、時間の使い方にもゆとりを感じています。東京では、どこに行くにも渋滞で時間がかかったり、やりたいことを始めようと思っても予約が取れないことが多く、時間の無駄を感じることがありました。しかし、現在の環境では、やりたいことをすぐに実行でき、時間にも余裕を持てるようになりました。</p><p>このように、生活の中でさまざまな「ゆとり」が生まれることで、心にも余裕が生じます。その結果、日々の生活がより豊かで穏やかなものになると感じています。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2025/01/06/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/kXmkytLbmNFrP4SJo6Yp4.webp"></figure><h2>空き家暮らしで困ったこと、苦労したことについて教えてください。</h2><p>熊本県は日照時間が長く、温暖な気候に恵まれているため、草花の成長が非常に早いと感じます。これは植物が元気に育つという点で大きな利点といえますが、庭や畑の手入れが大変になることも事実です。</p><p>この点については、人によって受け取り方が異なるかもしれません。青々とした木々を愛でることができるため、私は好きな点ではありますが、手入れの手間を負担に感じる方には「苦労」と映ることもあるでしょう。</p><h2>地域の人々との交流や関係性の構築について大切だと感じることを教えてください。</h2><p>人口があまり多くない地域だからこそ、住民同士で協力し合いながら地域を支えていくことが大切です。そのため、長く住んでいる方々に教えてもらいながら、自分ができる範囲で地域に関わる姿勢が大切です。</p><p>特に、ご近所の方々と積極的にコミュニケーションをとり、気軽に何でも相談できるような関係性を築くことが重要だと思っています。</p><p>都会では、ご近所にどんな方が住んでいるのか分からないまま過ごすことも少なくありませんが、この地域では、ご近所同士で親しく付き合えるのがとても魅力的です。</p><h2>今後も空き家での生活を続けたいか、その理由について教えてください。</h2><p>もちろん、ここでの暮らしを続けていきたいです。もう都会の暮らしには戻れません。</p><p>この地域での暮らしは、自分次第でどのようにでも形作ることができます。自分らしく生きていきたい方にはお勧めです。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2025/01/06/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/WadIzCdOSbixuPSMtbUmT.webp"></figure><h2>地域の魅力について教えてください。</h2><p>ここには本当に美味しい食べ物がたくさんあります。野菜、果物、お肉、魚のどれをとっても新鮮で、しかも手頃な価格で手に入るのが魅力です。特に採れたての野菜は味が全く違います。</p><p>東京では高価なものでも、安く手に入れることができます。食は毎日のことなのでとても大切なことだと思います。</p><p>また、忘れてはいけないことは、自然とともに暮らせることです。当たり前のように感じるかもしれませんが、これが手に入らない場所もたくさんあります。</p><p>空気がおいしく、自然の音や自然の美しさを感じながら生きていけることは、心にも身体にも良い影響を与えてくれます。</p><p>他にも魅力はたくさんあります。温泉でリラックスしたり、山登りや釣り、ゴルフを楽しんだりと、アウトドア好きにはたまらない環境があります。ご近所さんから新鮮な野菜や果物をいただいたり、木の剪定方法や料理のレシピを教えてもらったりするなど、人の温かさを感じることができます。</p><p>学校も少人数制のため、子どもたちは手厚いサポートを受けられます。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2025/01/06/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/ArMPsIwVWz69zymrH0KfF.webp"></figure><h2>空き家暮らしを検討中の方に向けてアドバイスやメッセージをお願いします。</h2><p>移住を検討している方の中には、なかなか一歩を踏み出せずにいる方も多いと思います。私たちも実際に移住を決断するまでには何年も悩み、考えました。</p><p>しかし、移住して思うことは、あのとき行動して本当に良かったということです。行動を起こすことで、これまで知らなかった多くの幸せや新しい可能性が手に入ることに気づきました。</p><p>まず自分がどのような生活を送りたいのかを思い描き、それを手に入れるためにはどうしたらよいかしっかり考えておくと、こんなはずではなかったと思うことが少ないと思います。ぜひ、楽しい移住生活を手に入れてください。</p>

ワープシティ公式

近年、古民家や空き家を購入し、自らの手でリノベーションを施してコストを抑えつつ、自分だけの理想の住まいを実現するDIYが人気を集めています。

地方移住をきっかけに、古民家・空き家での暮らしを検討する方も増えている中、どのようにして理想的な家を見つけ、購入すると良いのでしょうか。
実際に移住し、家のリノベーションに挑戦した方の体験談をもとに、その魅力と課題を探ります。

第9回目にご協力いただいた方は、熊本県宇城市の井上真美さんです。

宇城市

熊本県

所在地：熊本県宇城市、業種：義歯専門 歯科診療、家の築年数：140年

井上　真美

#9 東京から熊本県宇城市へ。診療所開業と古民家で実現した理想の暮らし

<h2>どのような経緯で空き家に住むことを決意しましたか?</h2><p>移住を考えた際、中古物件をいきなり購入することには大きな不安がありました。そのため、最初から空き家バンクなどを利用して賃貸物件を探していましたが、賃貸物件の掲載数は購入物件に比べて非常に少ない状況でした。</p><p>毎日サイトをチェックし、通勤中の電車の中でも更新情報を確認し続け、本格的に2年ほどかけて探しました。何件も内見し、家族と相談を重ねた結果、ようやく理想的な借家を見つけることができました。</p><p>それまで何度も安曇野を訪れていましたが、「住む」という視点で見ると、これまでとは全く違った印象を受けました。実際に現地に足を運び、住む目線で探し始めたことで、地域の雰囲気や気候を肌で感じることができました。</p><p>その過程で「自分たちが求める住む条件」を整理することができ、その結果、良い物件と巡り合えたのだと実感しています。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/11/21/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/dnMfsUUvmsXfKHigPTAzk.webp"></figure><h2>空き家を見つけるために利用した手段やサービスについて教えてください。</h2><p>空き家バンクやココスマ安曇野、スーモ、アットホームなどのネット検索を活用しながら、現地で開催されている「明科まちあるき空き家・空き店舗相談会」にも参加しました。</p><p>この「まちあるき」に参加したことで、地元の方々と繋がりを持つことができ、移住後の生活イメージを具体的に描けるようになりました。また、首都圏で開催されている移住相談会にも足を運び、積極的に現地の情報を収集していました。</p><h2>入居前の空き家の状態や実施した修繕、リフォームの内容について教えてください。</h2><p>母屋の残置物は無い状態でしたが、空き家の匂いは押し入れの中からしていたので、何度も拭き掃除をしました。現在、半年以上生活していますが、匂いはそこまで気にならなくなってきました。</p><p>お風呂の蛇口が壊れていましたが、借家なので大家さんの負担で直していただきました。お隣の「おじちゃん」が元水道屋さんだったこともあり、大家さんも「おじちゃん」に頼む間柄のようで、移住してからは良く気にかけてくれて助かっています。</p><p>納屋については、触らないで欲しいという大家さんとの約束があるのでそのままです。少し気になりますが、生活には全く支障はないです。</p><p>東京でも何度か引っ越しを経験しましたが、今回の引っ越しでは条件や約束ごとがあり、その点も含めて前向きに楽しみながら取り組むことができました。</p><p>また、リフォームについてはDIYが自由にできるとのことで、近くのホームセンターで材料を購入し、壁を<span style="color:#14161a;">若草色に</span>塗り直してみました。この作業には子どもも喜んで参加し、家族で壁に色を塗る体験は良い思い出になりました。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/11/21/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/3zM19uZxwevojYpn9gDXW.webp"><figcaption>DIY前の壁</figcaption></figure><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/11/21/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/YCeiGM3S4DwUkCOErJxKr.webp"><figcaption>DIY後。壁を塗り直し、部屋全体も明るくなった</figcaption></figure><h2>支援制度を活用した場合は詳細を教えてください。</h2><p>使える補助金は積極的に使った方がいいです。安曇野市では移住者向けの補助金や新婚さんへの補助金もあります。</p><p>私は空き家利活用をミッションにしているので、空き家に関する補助金を一つご紹介します。</p><p>安曇野市空き家バンクに掲載されている物件限定にはなりますが、移住される方の引越し費用を補助してくれる“移住者支援補助”は使いやすいと思います。安曇野市の引越し費用の1/3、最大10万円を補助してくれます。（2024年度現在）</p><p>他の市町村でも似たような制度があると思いますので、みなさんの移住活動の中で役所のサイトを見ることをお勧めします。分からない時には電話やZOOM相談をしている市町村もあるので、まずは調べてみてください。ちなみに、安曇野市もZOOMでオンライン相談可能です！</p><p>申請手続きの際、記入内容に誤りがあると再提出が必要になる場合があります。そのため、事前に制度内容を十分に理解し、正確に申請書を作成することで、手続きの時間を短縮できます。</p><h2>空き家暮らしを始めてからの日常生活の変化や感じたことを教えてください。</h2><p>空き家だった家に家族で暮らし始めた際、お隣の「おじちゃん」（88歳）から「久しぶりに子どもの声を聞けて嬉しい」と言われたとき、この土地に移住して本当に良かったと感じました。</p><p>周りの方々に助けていただくことも多く、東京でのマンション暮らしでは経験できなかった「近所付き合い」が新鮮で、とても嬉しく感じています。さらに、すぐ近くの使われていない畑を貸していただき、ネギを植えたところ、これが驚くほど美味しくて感動しました。</p><p>しかも、その畑作業もお隣の「おじちゃん」がうねを作り、マルチを張り、穴を開けるところまでしてくださり、私がやったのは苗を置くだけ（笑）。畑に通うのが楽しくなり、「おじちゃん」には本当にたくさんお世話になっています。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/11/21/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/v9Qb6x0Te16quAwCoMJmp.webp"></figure><h2>空き家暮らしで困ったこと、苦労したことについて教えてください。</h2><p>困ったというより驚いたのは、屋根裏に大きな蜂の巣があったことです。スズメバチの巣で、サイズは60cm四方とかなり立派なものでした。</p><p>幸い、既に使われておらず、そのままでも問題ないとのことだったので、特に手を付けずにそのままにしています（笑）。気づいたきっかけは春先、家の中にアシナガバチが入ってきたことでした。その原因を調べてみると、天井に隙間があったためで、ふとその隙間を開けてみたら蜂の巣が現れ、驚きました。</p><p>古い家なので虫が隙間から入ってくるのはすぐに慣れました。隙間風が入る場所には畳をめくり、隙間シートを張るなど、古い家ならではの工夫を楽しみながら暮らしています。</p><h2>地域の人々との交流や関係性の構築について大切だと感じることを教えてください。</h2><p>一番大事なのは、最初のご挨拶だと思います。</p><p>私たちが引っ越してきた日に、不動産屋さんが事前にお隣さんや大家さんに連絡をしてくれていたようで、ご挨拶に来てくださいました。その際、ごみの出し方や回覧板の仕組み、地域の“区”（自治会）について教えていただき、とても助かりました。</p><p>“区”では、地域の清掃活動として川のゴミ拾いや、在来の生態系を壊す特定外来植物のアレチウリの駆除などを行っています。また、子ども夏祭りや大人向けのソフトボール大会など、地域全体で協力し合う交流の場もあります。</p><p>安曇野市には景観条例があり、地域の人々が協力して美しい景色を守り続けてきました。私もこの景色に憧れて移住してきたので、この取り組みにぜひ参加したいと思い、活動に加わらせていただいています。</p><p>東京に住んでいた頃は、地域の一員として生活している実感があまりありませんでしたが、自分の手で綺麗にした道を歩くと、思いのほか気持ちが良いものだと気づきました。</p><h2>今後も空き家での生活を続けたいか、その理由について教えてください。</h2><p>この場所でこれからも生活を続けていきたいと思っています。</p><p>車さえあれば生活に不便を感じることは全くなく、空気が美味しいことや、畑で収穫した新鮮な野菜をすぐに味わえること、そして日々変化する安曇野の美しい景色の中で暮らせていることなど、挙げればキリがありません。</p><p>空き家バンクを通じてこの物件に出会えたことは本当に良かったと思っています。今のところ、最高の移住ができたと実感しています。</p><p>また、安曇野を起点に近隣の地域へも気軽に遊びに行ける点も気に入っています。これからも山登りやキャンプ、観光など、この土地での生活を思い切り楽しみたいと思っています。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/11/21/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/PvOmFHFihJqtEiUPgbVoF.webp"></figure><h2>地域の魅力について教えてください。</h2><p>移住してきて驚いたことの一つが、「水道水がおいしい！」ということです。安曇野市は綺麗な水が必要なわさび畑で有名ですが、水道水は北アルプスの雪解け水が地下に浸透した地下水を汲み上げているため、家庭の水道水もとても美味しいのです。</p><p>このおいしい水で炊いた安曇野のご飯は格別で、ついついおかわりをしてしまいます。また、近所は街灯が少なく夜は暗いのですが、そのおかげで星がとても綺麗に見えます。</p><p>実はこの星空の美しさに気づいたのは息子です。息子が教えてくれたおかげで、私たちも夜に星空を見上げる機会が増え、その美しさに感動しています。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/11/21/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/KNCmKnHJKjZ9HX2iySvrN.webp"></figure><h2>空き家暮らしを検討中の方に向けてアドバイスやメッセージをお願いします。</h2><p>空き家を使う大きなメリットは費用を抑えられることも一つですが、空き家だった物件にはその地の歴史の一部として、近所に住む方々の想いが詰まっていることが多く、地域の方々との繋がりを築きやすいこともメリットだと感じています。地域との交流を求めて地方移住を考えている方には、空き家の活用は特におすすめです。</p><p>地方に引越しをすることと、移住をすることは、求めているゴールに違いがあるように思います。わたしは地域の方と一緒に生活ができる気持ちの良い土地に移住をしたいと思い、長年探して見つけたのがこの安曇野でした。</p><p>みなさんの求める地方暮らしにはどんな想いがありますか？<br>実際に現地に足を運び沢山の方に自分の想いを伝えると、自ずと答えが見つかってくるのではないでしょうか。</p><p>安曇野市に訪れた際は、是非ご連絡をお待ちしています。みなさんにお会いできる日を楽しみにしています。</p>

近年、古民家や空き家を購入し、自らの手でリノベーションを施してコストを抑えつつ、自分だけの理想の住まいを実現するDIYが人気を集めています。

地方移住をきっかけに、古民家・空き家での暮らしを検討する方も増えている中、どのようにして理想的な家を見つけ、購入すると良いのでしょうか。
実際に移住し、家のリノベーションに挑戦した方の体験談をもとに、その魅力と課題を探ります。

第8回目にご協力いただいた方は、長野県安曇野市の松尾 大さんです。

安曇野市

長野県

所在地：長野県安曇野市、業種：地域おこし協力隊（空き家利活用）、家の築年数：45年ほど（厳密には不明）

松尾　大

#8 空き家から始まる地域の絆。お隣のおじちゃんと築く心温まる交流

<h2>どのような経緯で空き家に住むことを決意しましたか?</h2><p>「米粉発祥の地」である新潟県胎内市で米粉パン屋を開業したいと考え、市の空き家バンクに登録して手頃な物件を探していました。その際に紹介していただいたのが、現在住んでいる平屋です。この空き家を選んだ決め手は、家そのものの雰囲気、周囲の環境、そして近隣住民の温かさでした。</p><p>私たち夫婦はもともと古民家が好きで、土間や縁側がある昔ながらの日本家屋に魅力を感じていました。この家は庭の広さも程よく、古き良き日本の趣を残しており、すぐに気に入りました。また、近くには温泉や海があり、裏には広い駐車場（かつてのコンビニ跡地）もあるほか、窓からは風力発電の風車が見えるという素晴らしい環境も大きな魅力でした。</p><p>さらに、地域の方々の優しさも決め手となりました。通りすがりに声をかけていただいたり、野菜や魚のお裾分けをいただいたりと、移住者の私たちを心から歓迎してくださる温かい地域性に感動しました。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/11/22/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/QNfyAS9BO-D4QeHaeO3uu.webp"></figure><h2>空き家を見つけるために利用した手段やサービスについて教えてください。</h2><p>空き家バンクへの登録と並行して、自分たちでも市内のオープンハウスやモデルルームを訪れ、この地域の特色やリフォーム費用の相場について情報収集を行いました。</p><p>また、空き家の利用目的が米粉パン屋の営業という特殊なものであったため、保健所や消防署、水道局に加え、地元の電気・ガス業者の方々から専門的なアドバイスをいただきながら、住居兼店舗づくりの計画を進めました。</p><p>当時は仕事を続けながら情報を収集していたため、非常に大変だったことを覚えています。その経験から、情報が一元化された公的な支援サービスがあれば、もっとスムーズに進められたのではないかと感じました。</p><h2>入居前の空き家の状態や実施した修繕、リフォームの内容について教えてください。</h2><p>入居前は、空き家の一部をリフォームして米粉パン工房を作る予定でした。しかし、実際に住んでみると、この家の素敵な雰囲気を壊したくないという考えで一致し、家のリフォームは行わず、庭にユニットハウスを設置して工房を作ることにしました。</p><p>また、前の住居者が残してくださった家具や備品がこの家の雰囲気に非常に馴染んでいたため、今でもそのまま大切に使わせていただいています。</p><p>庭の工房で作った米粉パンは、家の玄関で販売しています。来店された地域の方々からは、「懐かしい」「雰囲気が変わらず嬉しい」といった温かいお声をいただいており、地域の方々との交流のきっかけにもなっています。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/11/22/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/NC62CtW3ynznr2rLnBAF8.webp"></figure><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/11/22/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/LfArUEV2gSt3fYXC-9nlf.webp"></figure><h2>支援制度を活用した場合は詳細を教えてください。</h2><p>市内を回りながら住居兼店舗に適した物件を探している際、飲食店のオーナーさんやモデルハウスのスタッフさんなど、多くの方々とお話しする機会がありました。その中で、あるカフェのオーナーさんから空き家バンクの存在を教えていただきました。</p><p>そのオーナーさんも、空き家バンクを通じて現在の店舗を見つけたそうで、手続きの流れや空き家バンクを活用する際のメリット・デメリットについて、実体験を交えながら詳しく教えてくださいました。</p><p>空き家バンクのメリットとして、地域の安価な空き家情報が一元化されている点が挙げられます。一方で、デメリットとしては、そのまま住める物件が少なく、多くの場合リフォームが必要になるという点もありました。</p><h2>空き家暮らしを始めてからの日常生活の変化や感じたことを教えてください。</h2><p>日常的にDIYをするようになりました。これまでのようにすぐ業者さんに依頼したり、新しい商品を購入したりするのではなく、修繕や補強をどうすれば良いか、庭の手入れには何が必要かを、人に聞いたりインターネットで調べたりしながら、自分たちで作ったり直したりすることが増えました。</p><p>最初は慣れないことも多く、不便に感じることもありましたが、一度挑戦すると次からはスムーズにできるようになり、さらに費用も抑えられるため、今ではDIYを楽しんでいます。むしろ、「次はどこを直そうか」「何を作ろうか」と、DIYができそうな場所を探しながら生活するのが日常になりました。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/11/22/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/U8XmACA72dlKP8U5H2ZuC.webp"></figure><h2>空き家暮らしで困ったこと、苦労したことについて教えてください。</h2><p>最も苦労したのは、電気ブレーカーの容量が小さいことでした。エアコンやドライヤーなど電力消費の大きい家電を使うと頻繁に<span style="color:rgb(23,43,77);">ブレーカーが落ちてしまい</span>、50年前と現代の使用電力量の違いを痛感しました。</p><p>さらに、各部屋のコンセントの数も非常に少なかったため、容量の大きいポータブル電源を購入し、必要な部屋へ移動させながら電力を供給する方法を取りました。ただ、これは将来的にキッチンカーを購入して移動販売を始める計画があるため、車内電力の供給方法を考える良いきっかけになったとも思っています。</p><p>また、消費電力量が大きい古いエアコンは廃棄し、ポータブルタイプのエアコンに買い替えました。どの部屋でも、さらには車内でも冷暖房を利用できるようになり、快適性が大きく向上しました。</p><h2>地域の人々との交流や関係性の構築について大切だと感じることを教えてください。</h2><p>笑顔で挨拶すること、そして地域性を理解することが、とても大切だと感じています。笑顔での挨拶は、関係性を築く基本であり、地域の方々が何を大切にし、どのように生活しているのかを理解することで、より深い交流が生まれると思います。</p><p>私たちは米粉パン屋を開業する前から、この地域のイベントやお店を訪れ、積極的に声をかけるようにしていました。そのときに出会った方々とのつながりは、今でも私たちにとって貴重な財産です。</p><h2>今後も空き家での生活を続けたいか、その理由について教えてください。</h2><p>はい、今後も空き家での生活を続けたいと考えています。私たちは、小さな米粉パン屋や米粉パン教室をこれからも続けていきたいと思っていますが、アパートやマンションの一室では運営が難しく、工房付きの家を建てるには高額な費用がかかります。</p><p>現在のスタイル、つまり空き家を安価に賃貸または購入し、その家の魅力を活かしながら、最小限のリフォームやユニットハウスの増設で営業する方法が私たちに合っていると感じています。</p><p>私たちのこの生活スタイルが、空き家に新たな価値を生み出し、地域に活力を与える一助になると信じています。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/11/22/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/J7VeuL4zeZd70XujoNJ3s.webp"></figure><h2>地域の魅力について教えてください。</h2><p>胎内市の最も大きな魅力は、食材が豊富で美味しいことです。「日本一小さい山脈」である櫛形山脈と日本海に挟まれた越後平野に胎内川が肥沃な大地をもたらし、寒暖差の激しい気候が食材を美味しく育て上げるのだと思います。</p><p>また、市内には、米粉、糀、水、ワイン、ビールなど天然資源を活かした食品会社や食料と農業に関する高等教育機関があり、その貴重な食材や食文化を今に伝えています。それらを地域おこしに繋げる活動も活発で、食に関するイベントが各地で毎月のように行われていたり、地元の食材や米粉が学校給食に積極的に取り入れられていたりしています。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/11/22/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/E48aPGu6BvlmkLtc0tMNh.webp"></figure><h2>空き家暮らしを検討中の方に向けてアドバイスやメッセージをお願いします。</h2><p>空き家には、自分たちが住みやすいようにカスタマイズする楽しさがあります。また、築年数がかなり経過していることも多いため、安価で、多少の傷や汚れも気にならず、気楽に住むことができます。</p><p>不便なこともあるかもしれませんが、現代に生きる私たちはインターネット上に溢れる様々な情報や、最先端の家電や100円で買える便利グッズの数々を手にすることができるので、不便さを楽しむことができると思います。</p><p>コロナ禍を経て飛躍的に発達したリモート通信環境によって住みたい地域でやりたい生き方がしやすくなった今、より多くの方が空き家暮らしという生き方を選び、放棄される家やシャッター街を減少させ、地方を元気にしてもらえたら嬉しいです。</p>

近年、古民家や空き家を購入し、自らの手でリノベーションを施してコストを抑えつつ、自分だけの理想の住まいを実現するDIYが人気を集めています。

地方移住をきっかけに、古民家・空き家での暮らしを検討する方も増えている中、どのようにして理想的な家を見つけ、購入すると良いのでしょうか。
実際に移住し、家のリノベーションに挑戦した方の体験談をもとに、その魅力と課題を探ります。

第7回目にご協力いただいた方は、新潟県胎内市の小島　雅彦さん・絵奈子さんです。

胎内市

新潟県

所在地：新潟県胎内市、業種：自営業（米粉パン屋）、家の築年数：50年くらい

小島　雅彦さん・絵奈子

#7 胎内市の空き家が夢の舞台に！理想の古民家で米粉パン屋をオープン

<h2>どのような経緯で空き家に住むことを決意しましたか？</h2><p>田舎暮らしのテレビ番組を見たことがきっかけで、地方移住や空き家暮らしに興味を持ちました。里山の風景に囲まれた古民家で暮らし、自分の畑を持ちたい！という夢が芽生えたんです。その時、夫の故郷である男鹿市に帰るのもひとつの選択肢かな、と思うようになりました。</p><p>さらに、夫がリフォームの仕事をしていたこともあって、空き家をリノベーションして暮らすというイメージは、比較的すぐに湧きました。</p><h2>空き家を見つけるために利用した手段やサービスについて教えてください。</h2><p>東京で開催されていた「移住フェア」に参加し、移住担当者の方に相談しました。その際に「空き家バンク」を紹介していただき、「移住活動支援補助金」を活用して、登録物件を2〜3軒ほど内見しました。</p><p>残念ながら、その時は「ここに住みたい！」と思える物件には出会えませんでした。しかし、内見後に市の職員さんからおすすめされたお店に立ち寄り、そこでその話をすると、店主の方がとある古民家を紹介してくれたんです。それが、現在私たちが暮らしている古民家との出会いでした。</p><h2>入居前の空き家の状態や実施した修繕、リフォームの内容について教えてください。</h2><p>古民家に初めて訪れたとき、周囲は草木が生い茂り、家の中には家財道具がそのまま残されていました。布団や衣類、タンス、仏壇、食器、さらには調味料まで、全てがそのまま置かれていたのです。</p><p>さらに、床下の柱が腐っており、柱と屋根を残して、その他は基礎からリフォームが必要でした。前の住人が何度かリフォームをしていたため、水回りやダイニングはそのまま使用できましたが、その他の部分はほぼフルリノベーションすることになりました。</p><h2>支援制度を活用した場合は詳細を教えてください。</h2><p>市のホームページを確認したり、移住担当の職員さんに相談したりして、秋田県の「住宅リフォーム推進事業補助金」と、男鹿市の「移住者住宅取得等支援事業補助金」を利用しました。</p><p>手続きは少し手間がかかりました。大工さんに書類を用意してもらったり、リフォーム前後の写真を用意したりと、いくつかの手続きが必要でした。</p><h2>空き家暮らしを始めてからの日常生活の変化や感じたことを教えてください。</h2><p>空いているスペースを活かして、地域の交流の場「里山ほのぼの」を設けました。ここでは、地域の方々と一緒に体操をしたり、お茶を飲んで交流したり、イベントスペースとして活用しています。最近では、男鹿の魅力を再発見するきっかけとして「ジオカフェ」も開催しています。</p><p>地域の皆さんに温かく迎えていただき、楽しく過ごせていることが本当に嬉しいです。空き家暮らしを始めて、本当に良かったと感じています。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/10/09/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/JqsXK6CZQbNldctsvoS2N.webp"></figure><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/10/09/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/R2p0LUcGdjt6KxL2ZhIIU.webp"></figure><h2>空き家暮らしで困ったこと、苦労したことについて教えてください。</h2><p>リノベーションはしたものの、寒いのが悩みです。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/10/09/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/RvKYBFfoDBJ5fQXsocUCb.webp"></figure><h2>地域の人々との交流や関係性の構築について大切だと感じることを教えてください。</h2><p>「ご縁があってこの場所に住まわせていただいている」という感謝の気持ちを、常に忘れないように心がけています。イベントを開催する際も、まずは地域の方々にお声がけをするようにしています。</p><p>また、地域行事にも積極的に参加し、地域の一員として共に活動することを大切にしています。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/10/09/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/_PHDf-crZVyVxV6Dz31Ye.webp"></figure><h2>今後も空き家での生活を続けたいか、その理由について教えてください。</h2><p>もちろんです！地域の人との交流が楽しいので続けたいです。</p><h2>地域の魅力について教えてください。</h2><p>「守りたい秋田の里地・里山50」に選ばれた安全寺の田園風景も、この地域の大きな魅力です。</p><p>さらに、なまはげ文化や地元の食文化を教えてもらえる機会もあり、地域の伝統と自然を感じながら暮らせる楽しみがあります。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/10/09/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/2f-roukN_oybJJ6_EZji8.webp"></figure><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/10/09/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/eDgMIBGfO4imJHm9ACene.webp"></figure><h2>空き家暮らしを検討中の方に向けてアドバイスやメッセージをお願いします。</h2><p>古民家には、よくクモやゲジゲジなどが遊びに来てくれます。また、湿気が多く、カビが発生しやすいというデメリットもあり、対策が欠かせません。</p><p>それでも、自分の理想の暮らしを実現したい方には、空き家暮らしをぜひおすすめします。</p>

近年、古民家や空き家を購入し、自らの手でリノベーションを施してコストを抑えつつ、自分だけの理想の住まいを実現するDIYが人気を集めています。

地方移住をきっかけに、古民家・空き家での暮らしを検討する方も増えている中、どのようにして理想的な家を見つけ、購入すると良いのでしょうか。
実際に移住し、家のリノベーションに挑戦した方の体験談をもとに、その魅力と課題を探ります。

第6回目にご協力いただいた方は、秋田県男鹿市の柴田万里子さんです。

男鹿市

秋田県

所在地：秋田県男鹿市、業種：男鹿半島・大潟ジオパークのガイド、家の築年数：築142年（明治15年/1882年）

柴田　万里子

#6 秋田県男鹿市で見つけた豊かな田舎暮らし。空き家が繋ぐ地域との交流

<h2>どのような経緯で空き家に住むことを決意しましたか?</h2><p>第1子を妊娠していた当時、私は東京に住んでいましたが、自然豊かな環境で子育てをしたいと考えました。海や川、山に囲まれ、食べ物も美味しく、四季の移ろいを感じられる北陸地方に魅力を感じ、家を探しました。</p><p>最初は新築に住むことを考えていましたが、私たちが住みたいと思っている広くて純和風な家を建てると建築費用がかなりかかります。建築業者を探すことも大変だったため、私たちの希望を叶えてくれる空き家を探すこととなりました。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/09/03/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/UNnJ18X1RlFXQQzArzOny.webp"></figure><h2>空き家を見つけるために利用した手段やサービスについて教えてください。</h2><p>基本はインターネットを利用し、SUUMOやアットホームといった空き家の掲載のある不動産業者のウェブサイトで空き家情報を検索しました。また、自治体が運営する「空き家情報バンク」も見ています。</p><p>他には、直接何店舗かの不動産業者を訪れて情報収集や相談もしました。今住んでいる家はインターネットで検索して見つけた物件です。</p><h2>入居前の空き家の状態や実施した修繕、リフォームの内容について教えてください。</h2><p>空き家になっている間に動物が入ってしまったり、庭の木々が生い茂ったりしていたため、専門の業者の方に依頼する必要がありました。シロアリは検査の結果問題はありませんでしたが、床下の防蟻処理をしてもらっています。</p><p>リフォームは全体的に行なっており、水回りの更新や改修（キッチン、お風呂、洗面所、トイレ）をはじめ、間取りの変更（お風呂をシューズクローゼット、洋室をお風呂、洗面所、ランドリースペース）、床や畳、クロスの貼替、窓の入れ替えなどを行っています。</p><figure class="image"><img></figure><h2>支援制度を活用した場合は詳細を教えてください。</h2><p>国の補助金（先進的窓リノベ、給湯省エネ）については、自らインターネットで調べ業者を通じて申請をしました。市の補助金については、不動産業者に教えてもらい私たちで申請しました。</p><p>どちらの補助金も業者さんの手厚いサポートがあったため、負担はそんなにありませんでした。</p><h2>空き家暮らしを始めてからの日常生活の変化や感じたことを教えてください。</h2><p>縁側があるので、子どもたちが庭で遊んだり、プールを楽しんだりする様子も見守ることができます。気兼ねなくバーベキューもでき、庭では虫とりをしたり、周りの田んぼではカエルをつかまえたり、用水路には魚が泳いでいるので魚とりなどをして子どもたちと一緒に自然を満喫しています。</p><p>家の中では追いかけっこや相撲とりと日々騒がしいですが、とても充実しています。部屋数が増えたことで親戚や友人は遊びに来た際に泊まってもらえます。</p><p>住環境に大きなゆとりができたと思います。</p><h2>空き家暮らしで困ったこと、苦労したことについて教えてください。</h2><p>庭の手入れに苦労しています。子どもが小さく、庭の手入れに充てる時間がなかなか確保できない状況です。</p><p>虫取りもできているのですが、ムカデなどの害虫もいます。引っ越してきた当初はヘビが出たりもしました。家も広くなったので家の中の掃除や手入れも時間がかかり大変です。</p><h2>地域の人々との交流や関係性の構築について大切だと感じることを教えてください。</h2><p>近所の方や周りの方も親切な方ばかりで、私たち家族のことも気遣っていただきとても感謝しています。ご近所さんからお野菜や果物をいただいたり、初めて地域の行事に参加する際には優しく声を掛けていただいたり、とても親切にしてもらっています。</p><p>また、子どもたちのことをいつも気にかけて可愛がって下さいます。最近では、地域のソフトボール大会に参加し、打ち上げの最後まで楽しみました。</p><p>まだまだ私たちにできることは少ないですが、少しでもこの地域に貢献できるように、奉仕活動や行事には積極的に参加していきたいという気持ちです。</p><h2>今後も空き家での生活を続けたいか、その理由について教えてください。</h2><p>私たちの希望していた広くて純和風な家に住むことができ、改修もしたので住まいはとても快適です。何も不便はないため、このままここでの生活を続けていきたいです。</p><p>ご近所の方や地域の方のお人柄のおかげで快適な生活ができています。今のところ引っ越す予定はないのですが、もし引っ越す必要が出てきても「絶対離れたくない」という思いが強いです。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/09/24/-9EMqEXy356ofznTj9ilP/RmA4Pee7lLvuuPBk2UYj8.webp"><figcaption>改修前</figcaption></figure><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/09/03/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/SonjE31PRPXJDqPpE4_vl.webp"><figcaption>改修後</figcaption></figure><h2>地域の魅力について教えてください。</h2><p>自然に囲まれた環境で子育てができます。私が嬉しかったのは、6月頃にはホタルが見られることです。</p><p>夜になると星空がとても綺麗で、流れ星もはっきり見ることができます。夏には海で思いっきり遊び、浜茶屋でラーメンを頬張る子どもたちを見て嬉しくなりました。これからの季節も本当に楽しみです。</p><p>地域の博物館や公園なども充実しており、イベントが毎月どこかで開催されているため街に活気があります。スーパーは充実していますし、クリニックも近くにあるので日常生活に不安はありません。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/09/03/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/0fOAvQuBok6QwYLTamluO.webp"><figcaption>坂井市田園風景</figcaption></figure><h2>空き家暮らしを検討中の方に向けてアドバイスやメッセージをお願いします。</h2><p>希望の家が空き家の中にあるのなら、新築するよりも初期費用が抑えられる場合もあります。私たちの場合は、希望の家を新築で建てるよりも、空き家の中で希望の家を探し、リフォームした方が初期費用が抑えられました。</p><p>その分の資金を他のところに回すことができ、少し生活に余裕が生まれました。</p>

近年、古民家や空き家を購入し、自らの手でリノベーションを施してコストを抑えつつ、自分だけの理想の住まいを実現するDIYが人気を集めています。地方移住をきっかけに、古民家・空き家での暮らしを検討する方も増えている中、どのようにして理想的な家を見つけ、購入すると良いのでしょうか。実際に移住し、家のリノベーションに挑戦した方の体験談をもとに、その魅力と課題を探ります。

第5回目にご協力いただいた方は、福井県坂井市のコヴァルチク マテウシュ エミルさんです。

坂井市

福井県

所在地：福井県坂井市、業種：プログラマー、家の築年数：昭和43年築　

KOWALCZYK MATEUSZ EMIL（コヴァルチク　マテウシュ　エミル）

#5 自然の中でのびのび子育て！理想の家を空き家リフォームで実現

<h2>どのような経緯で空き家に住むことを決意しましたか？</h2><p>自転車で日本各地を旅している中で、人の縁に導かれ、御浜町にたどり着きました。出会った方々の温かさに惹かれ、一年ほどゲストハウスでお手伝いをしながら暮らしていました。</p><p>この地の人々や豊かな自然、そして心地よい空気感に触れるうちに、ここで暮らす決意が固まりました。特に、周囲の人々の温かなサポートがあったことが、決断の大きな要因です。</p><p>この場所は、私にとってただの居住地ではなく、「第二の故郷」となりました。移住後の生活は、期待以上に充実しています。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/09/02/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/rwrWDa8dLMKte4iNT6qvJ.webp"></figure><h2>空き家を見つけるために利用した手段やサービスについて教えてください。</h2><p>空き家を見つけた経緯は、「御浜町移住・交流サポートデスク」に相談したことがきっかけです。サポートデスクは、地域の特性や生活環境の情報から補助制度の案内まで行う、移住者向けの総合相談窓口です。</p><p>サポートデスクに住居などの移住相談をした際に、御浜町空き家バンク制度を紹介していただきました。この制度で理想の空き家に巡り合い、移住をスムーズに進めることができました。</p><p>御浜町への移住を考えている方は、まずはサポートデスクに相談してみることをお勧めします。</p><h2>入居前の空き家の状態や実施した修繕、リフォームの内容について教えてください。</h2><p>空き家は10年以上も人が住んでおらず、少し荒れた状態でした。室内には残置物が残され、庭には雑草が生い茂り、まずは手入れが必要でした。最初の2ヶ月間は、これらの片付けや掃除、草刈りを中心に作業を進めました。</p><p>その後、修繕やリフォームを少しずつ進めていきました。例えば、台所の裏にあった壊れたトタン屋根は雨漏りを防ぐために新しく張り替え、カビの除去を行いました。床も磨き直して蜜蝋（※ミツロウ）を塗り、洗面所には新しい鏡やライトを設置し、心地よい空間を作り上げました。</p><p>さらに、元々庭にあった鉄筋や廃材を利用して、小さな小屋や柵を作りました。庭も整備し、今ではヤギを飼うなど、暮らしに新しい楽しみが増えました。</p><p>※蜜蝋（ミツロウ）ミツバチが六角形の巣を作る材料として、働き蜂の腹部にある分泌腺から分泌するロウ<span style="color:rgb(31,31,31);">のこと</span></p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/09/02/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/roq5DHjrO7G3EM1hKuZfM.webp"></figure><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/09/02/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/nhFM84U1KcvnGrcInAP6r.webp"></figure><h2>空き家暮らしを始めてからの日常生活の変化や感じたことを教えてください。</h2><p>空き家をキレイにする過程で、近隣の方々から「よくやっているね」と褒めていただけることが増えました。少しずつ自分の手で家を修繕しお洒落に仕立てていく作業は、まるで大きな作品を作り上げているような充実感があります。</p><p>その過程で、DIYに使える道具も徐々に増え、自然と技術も向上しました。今では、時々ご近所の方から仕事を依頼を受けることもあります。</p><p>特に印象的だったのは、元々大工や建築に携わっていた方が、蔵に眠っていた道具や木材を提供してくださったことです。こうした地域の方々の温かいサポートには、心から感謝しています。</p><p>空き家暮らしを通じて、人とのつながりや新しいスキルを得られる喜びを実感しています。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/09/02/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/Y8qYueaHLlypmysMy0YiU.webp"></figure><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/09/02/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/O76DDDYfrBNyzLN4rcXKA.webp"></figure><h2>空き家暮らしで困ったこと、苦労したことについて教えてください。</h2><p>空き家暮らしでは、庭の草刈りや木の剪定が思った以上に大変です。特に、忙しい時期になると、手入れをする時間が取れず、雑草や木々がどんどん成長してしまいます。</p><p>また、床下の換気が悪いため梅雨の時期にはカビが発生しやすく、これも大きな悩みの一つです。特に湿気の多い日は、カビが家の中にまで上がってきてしまい、掃除に時間を取られてしまいます。</p><p>こうした点では、空き家のメンテナンスがいかに大切かを痛感しています。</p><h2>地域の人々との交流や関係性の構築について大切だと感じることを教えてください。</h2><p>まず大切なのは、挨拶だと思います。毎日の挨拶を通じて顔を覚えてもらい、自然に会話が増えていきます。</p><p>また、家やその周りをキレイに保つことも大切です。これにより、地域の方々に好印象を持ってもらえるだけでなく、自分自身も心地よく暮らせます。</p><p>さらに、地域の草刈りや行事に積極的に参加することも重要です。そうした場で顔を合わせ、交流を深めることで、地域の一員として受け入れられやすくなります。</p><p>特に、一人でも地域で信頼されている方と良好な関係を築くことができれば、他の人々ともスムーズに関係を築けます。あとは、自然を大切にする心も忘れてはならない要素です。</p><h2>今後も空き家での生活を続けたいか、その理由について教えてください。</h2><p>はい、これからも空き家での生活を続けたいと考えています。少しずつ家が素敵に変わっていく過程が楽しいからです。</p><p>自分の手で手入れをし工夫を重ねることで、家が生まれ変わっていくのを見るのは大きな喜びです。また、最近では地域にも目を向けるようになり、この街をさらに素敵な場所にするために、自分にできることを積極的に取り組んでいきたいと考えています。</p><p>地域のイベントや活動に参加し、地元の方々と交流を深めることで、この街にもっと貢献できるのではないかと感じています。</p><h2>地域の魅力について教えてください。</h2><p>豊かな自然です。水は綺麗で、風は心地よく、四季折々の美しさを楽しむことができます。山里の静かな環境にいながら、海も遠くないため、新鮮な海の幸や山の幸を安く手に入れることができます。</p><p>さらに、少し足を伸ばせばそれなりの町にもすぐに出られます。必要な施設やお店が揃っているので、生活に不便を感じることはありません。また、この地域は「聖地熊野」としても知られ、神聖で美しい場所が数多く点在しています。</p><p>歴史や文化に触れる機会が多く、地域独自の魅力を味わえるのもこの場所ならではです。加えて、魅力的な人物が多いことも特徴の一つで、まるで人間国宝のような面白い方々との交流も楽しみの一つです。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/09/02/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/9_vuMxqnXwuU8qNnC5WiS.webp"></figure><h2>空き家暮らしを検討中の方に向けてアドバイスやメッセージをお願いします。</h2><p>田舎暮らしを望む方が増えていますが、理想的な空き家を見つけるのは簡単ではありません。多くの空き家は、家主が高齢であったり遠方に住んでいたりするため、残置物があり修繕が必要な場合がほとんどです。</p><p>都会では、賃貸物件や売物件が整った状態で引き渡されるのが一般的ですが、田舎ではそうはいかないのが現実です。</p><p>このため、空き家を活用するには、補助金などのサポート制度を利用するだけでなく、家主、行政、入居者が協力し合い、居住可能な空き家を作り上げていく姿勢が求められます。三者が連携することで、空き家活用の幅が広がり、より良い暮らしが実現できると思います。</p><p>また、田舎での生活は、「仕事をしてお金を稼がないと生きていけない」という感覚を少し手放し、ゆとりのある時間や日々の生活、そして自分のやりたいことを大切にすることが重要だと感じています。身近な人や自然との調和を意識して生きていくことで、豊かな暮らしが実現するはずです。</p><p>空き家暮らしを検討している方には、そうした価値観を大切にしながら、ぜひ一歩を踏み出してほしいと思います。</p>

近年、古民家を購入し、自らの手でリノベーションを施してコストを抑えつつ、自分だけの理想の住まいを実現するDIYが人気を集めています。地方移住をきっかけに、古民家での暮らしを検討する方も増えている中、どのようにして理想的な古民家を見つけ、購入すると良いのでしょうか。実際に移住し、古民家リノベーションに挑戦した方の体験談をもとに、その魅力と課題を探ります。

第4回目にご協力いただいた方は、三重県御浜町の武部直輝さんです。

御浜町

三重県

所在地:三重県南牟婁郡御浜町、業種：便利屋・芸術家

武部直輝

#4 空き家暮らしの醍醐味！御浜町の人とのつながりや新しいスキルを得られる喜びを日々実感

<h2>どのような経緯で空き家に住むことを決意しましたか?</h2><p>長野県木曽町への移住を考える中で、住まいをどうするかという課題がありました。最初は新たにログハウスを建築したいと思いましたが、木曽町には多くの空き家があることを知りました。そこで、住宅展示場に行き、木曽町で空き家も見学しました。</p><p>そのような中で、「住まい」という一つのことだけでなく、「生活していく」という暮らし全体のことを踏まえて考えるようになりました。妻から、「ここで生活していくのだから、地域に馴染むことが大切だと思う。新たな土地に真新しいログハウスを莫大なお金をかけて建てるのは地域の人から見たらどうかな・・・」という意見がありました。</p><p>確かに、この地域には昔から大切にしてきた昔ながらの形式（大屋根）の家が多い中、東京からの移住者が新しく家を建てて住むことに、私も少し抵抗を感じ始めていたのです。そして、改めて空き家を探していると、残していきたいと思える古民家の多くが空き家となっていて、このまま朽ちていくのを待っているかのように感じたのです。</p><p>私もこの地域に移住し、そんな空き家を存続することができたら幸せなことなのではと思いました。そして、空き家の中でも特に築年数の古い空き家に住む決意をしました。</p><h2>空き家を見つけるために利用した手段やサービスについて教えてください。</h2><p>まずは、木曽町の空き家バンクサイトや移住サポートセンター、東京では有楽町にある「ふるさと回帰センター」に何度か通って相談にのっていただきました。</p><p>毎年登山に訪れていたので、そのたびに木曽町に宿泊し、地域の方々に、「空き家はないですか？」「移住をしたいと思っているのですが」と話しかけていました。</p><p>「この人に聞いてみるといいよ」「移住サポートセンターに問い合わせたらいいよ」など皆さんが親切に教えてくださいました。実際に車に乗せてもらい、知っている空き家を何件も回ってくれる旅館の女将さんにも会いました。</p><p>結局は、そんな地域の方のおかげで、直接地域の方から空き家を紹介していただきました。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/09/01/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/CN3BIDnbvnQdclz6WtZ8p.webp"></figure><h2>入居前の空き家の状態や実施した修繕、リフォームの内容について教えてください。</h2><p>実際に住んでいる家は、それまで約20年間空き家となっていました。しかし、持ち主の方が地域に住む方に管理を委託し手入れをしていたおかげで、蘇澳像以上に家の傷みは少ない状態で、内部に残置物もほぼない状態でした。</p><p>ただ、建てられたのが明治時代であり、木の雨戸と障子戸のみの部屋ばかりでガラス戸やサッシなどもなく、隙間風だらけでした。2階の天井の隙間のあらゆる箇所からほこりや煤が日々落ちてくる状態で、まずは天井裏の大清掃からスタートしました。</p><p>水回りや電気工事は工務店にお願いして施工していただきましたが、それ以外はⅮIＹでやろうと思いましたが、何しろ素人です。そこで、重要な個所は地域の大工さんに頼み、大工さんに教えてもらいながら改修していきました。</p><p>基本は、「明治時代に建てられた状態に戻す！」というコンセプトに基づき、昭和になって造作された天井や床、壁などは解体していきました。そんな改修の毎日を続ける中、「長野県共創人口構築事業」に採択していただきました。</p><p>6日間に延べ200名以上が集ったDIYイベントを開催することができ、古民家デザイン講座から、土間づくり、土壁づくり、庭の池の復活DIYなど、一気に改修が進みました。その一環として、日本画家による墨絵のライブパフォーマンスにより、襖に素晴らしい日本画（相撲絵）を描いていただき、古民家らしさが倍増しました。</p><p>とはいえ、改修に終わりなし！ということで、今だ少しづつではありますが、改修は継続しています。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/09/01/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/kHay6L6Hq5a0wRW3qCoBG.webp"></figure><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/09/01/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/pWXrxUlajPGvfxslFxwkX.webp"></figure><h2>支援制度を活用した場合は詳細を教えてください。</h2><p>支援制度の情報は木曽町のホームページで入手しました。また、移住サポートセンターの担当者からも情報を頂きました。</p><p>手続きに関しては木曽町のサイトで、条件や申請様式がアップされているので、それに従って記載していきました。実際には、事前申請のような形で役場に連絡し、申請書を作成し提出しました。</p><p>私の場合は、工務店と大工さんにお任せした施工部分が補助金対象であり、見積もりの依頼、施工開始、施工完了と段階を経て、工事完了の届けを提出しました。事前に役場に補助金の申請希望をお伝えしていたこともあり、スムーズに処理していただき、また、不明な点は快く教えていただきました。</p><h2>空き家暮らしを始めてからの日常生活の変化や感じたことを教えてください。</h2><p>私の住む家は、約20年間空き家でしたが、それ以前はこの町（当時は村）の村議会議員がご夫婦で住んでいました。さらに向かいにある本家は、長野県の文化財として県宝に指定されている住宅で、木曽馬の馬医などをしていた大馬主で大変な財力を持った家でした。</p><p>そのため、この地域では「本家」と「しんや（分家という意味で）」として名が通っている住宅でした。私がDIYで改修作業をしていると、「ようやってくれてありがとう！朽ちていくと諦めていたこの家がだんだん凄くなっていくのが嬉しいよ」と声をかけてくれる方が多く、自分の家でありながら、“地域みんなの家”という意識が芽生え始め、改修に熱が入っていきました。</p><p>ただ、毎日改修ばかりをしているわけにもいきません。仕事にも行かなければ生活はできませんので、移住当初は、出勤前と帰宅後寝るまでの間、休日に改修をするといった過酷な日々でした。</p><p>木曽町開田高原の冬は全国で寒さトップを争う地域であり、冬までに断熱をしなければ！というプレッシャーに襲われていました(笑)ので、余計に焦っていたのかもしれません。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/09/01/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/Xvv8hlUKpJhl_ibeY_xD7.webp"></figure><h2>空き家暮らしで困ったこと、苦労したことについて教えてください。</h2><p>やはり、冬の寒さです。よく昔の人はこの状況で住んでいたなと感心します。</p><p>囲炉裏のあった家なので、煙が抜けるような隙間の多い構造になっており、部屋の開口部は障子と木戸のみです。台所にわずかに薄いガラス戸があるものの、その隙間からは雪が入ってきて、帰宅したらキッチンに雪が積もっていることもあります（進行形）。</p><p>水回りは電熱線を外の水道管に巻き付けていますが、隙間だらけの古民家なので、家の中の水道管や蛇口先端までが凍結します。寒い朝は家の中がマイナス15度です。</p><p>ただ、疲弊してしまうようなことではなく、それをも楽しみながら生活しています。</p><h2>地域の人々との交流や関係性の構築について大切だと感じることを教えてください。</h2><p>「遠慮せず頼る」ということです。</p><p>私は50歳を機に移住しましたが、この地域では「若い人が来た」という表現をされます。確かに皆年上の方ばかりですのでなおさら「頼る」ことがスムーズにできているのかもしれません。</p><p>遠慮せずに、分からないことは聞く、困ったことがあれば相談してみる、そうすると皆さん驚くほど助けてくれます。</p><p>例えば、「1年目なので乾燥した薪がない」というと、知らないうちに家の前に沢山の薪が置かれていたり、「畑をやろうかな」と呟いていたら、重機で耕しに来てくれたり。もちろん田舎あるあるの玄関前に野菜が置かれているのは当たり前です。</p><p>次に大切なことは、「力まない」ことだと思います。</p><p>移住してこうしよう！頑張ってこんなことを実現しよう！という思いは大切ですが、それに執着しすぎると上手くいかないのではと思います。</p><p>考えてみてください。昔から生活してきた地域の中に、まったく違う生活をしてきた者が来て、「これもやりたい！あれも実現したい！」と言ってもなかなか上手くはいきません。それよりもまずは、地域を知ることが優先で、その中で何ができるのか、自分のやりたいことが実現可能かを模索しながら生活していく方がよいと考えます。</p><p>また、地域の行事も重要です。半強制的に行事に参加させられるのを覚悟していた私は、「移住して間もないから、まだ参加しなくてもいいよ」と言われ、面食らいました。</p><p>しかし、もっと地域の方を知りたいという思いで、移住半年で、伍長（組長）をやりたいと立候補してやらせてもらったことが、早く地域に馴染めた要因のひとつです。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/09/01/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/huqusKm6r9udlyD8YBm3B.webp"></figure><h2>今後も空き家での生活を続けたいか、その理由について教えてください。</h2><p>部屋数が9部屋もある家に夫婦で住んでおり、ここを宿泊施設にして私たちは別の家に住もうか、なんていう話も出たこともあります。ですが、この家に住みたくて購入したのに、私たちが出ていくのは本末転倒だという結論に至りました。</p><p>この家に来て「この家の恩恵」を実感しており、ただ住むだけの家ではなく、今後色々な形で広がりのある可能性の大きい家だと感じているので、ここで生活していきます。また、空き家の改修で得た知識や技術を、他の空き家解消のために活かすことができればとも思っています。</p><h2>地域の魅力について教えてください。</h2><p>地域の魅力は、ずばり“人”です。</p><p>ここ木曽町開田高原は、木曽馬とともに暮らしてきた地域です。木曽馬は主に女性によって育てられ、それ故か優しく温厚な性格の馬が多いです。そんな木曽馬と共に生活してきた方々だからなのか、同じく優しく温厚な方が多い地域です。</p><p>移住して近隣の皆さんに挨拶に伺う際、「よそ者か、まあやるだけやってみろ」なんて言葉を言われるのは当然にあるだろうという覚悟をしていました。しかし、どの家に伺っても言われるのは、「来てくれてありがとう！あの朽ちていくだろうと思っていた家に灯りがともるなんて」とか、「若い人（50歳過ぎても？！）が来てくれるのは嬉しい」など歓迎されました。</p><p>約1,200ｍの標高に我が家はあり、夏は涼しい風が吹き、青い空、夜には満天の星に囲まれます。心にも優しい暮らしを送ることができるのがこの地域の魅力でもあります。</p><p>反面、冬は極端に寒いですが、その寒さ故の春の訪れの嬉しさもまた魅力のひとつです。</p><h2>空き家暮らしを検討中の方に向けてアドバイスやメッセージをお願いします。</h2><p>「空き家」と一口にいっても、その状態や背景は様々です。最も大切なことは、その家に住んでいた方の思いを感じることではないかと思います。持ち主（住んでいた方）と直接お話して、これまでの暮らしのことや家に対する思いなどを聞いてみることをおすすめします。</p><p>私たちのように、すでに何十年も空き家の状態が続いて持ち主と接することが叶わない場合には、近隣の方々に聞いて回ることも一つです。そのうえで、間取りや位置関係、修繕必要箇所などを把握して判断してみてはいかがでしょうか。</p><p>最後はインスピレーションです！自分の感覚を研ぎ澄まして、「あ。ここかな」という物件に出会えたら、その感覚に素直に従ってみてはいかがでしょうか。</p><p>新築よりも安価に家を購入できるからという理由も大切ですが、その空き家のことが好きかどうかということも重要だと思います。</p>

近年、古民家を購入し、自らの手でリノベーションを施してコストを抑えつつ、自分だけの理想の住まいを実現するDIYが人気を集めています。地方移住をきっかけに、古民家での暮らしを検討する方も増えている中、どのようにして理想的な古民家を見つけ、購入すると良いのでしょうか。実際に移住し、古民家リノベーションに挑戦した方の体験談をもとに、その魅力と課題を探ります。

第3回目にご協力いただいた方は、長野県木曽町の寺内健さんです。

木曽町

所在地:長野県木曽町、業種：木曽町地域おこし協力隊、築何年の古民家か：約150年


寺内健

#3 木曽町開田高原で蘇る明治の空き家。地域の温かい人々と共に、未来へ繋がる暮らしを

<h2>どのような経緯で空き家に住むことを決意しましたか?</h2><p>東京都世田谷区にある平屋一軒家の賃貸物件に住んでおりましたが、犬を飼い始めたことをきっかけに、移住を考えました。都内住宅地においては隣家との隣接距離や、犬に対してのクレーム等もあり移住先を半年程かけて探しました。</p><p>「ワンちゃんファースト」でのびのび暮らせる場所を求め、近隣の家の距離が近くないことやそれなりの広さの敷地を条件にあげて山北町に辿り着きました。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/09/01/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/I_Vhde_ztEiPW_67RNACu.webp"></figure><h2>空き家を見つけるために利用した手段やサービスについて教えてください。</h2><p>空家バンク（アットホーム全国版空き家バンク、自治体の空き家バンク）と、その地域にある不動産会社などから物件を調べました。</p><h2>入居前の空き家の状態や実施した修繕、リフォームの内容について教えてください</h2><p>築年数の割に状態は良かったのですが、全て畳の和室でしたので内装をリフォームし、お風呂とトイレの入替えを実施しました。天井、壁、床の塗替えや張替えなどはセルフリフォーム（DIY）にて実施しました。</p><p>裏庭には畑があったのですが、「ワンちゃんファースト」のため、犬達が遊び回れるようににドッグランを作りました。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/09/01/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/KK9OGolhDP58yoUOkrwLZ.webp"></figure><h2>支援制度を活用した場合は詳細を教えてください。</h2><p>空家バンクのサイトから役場の移住担当である定住対策課経由で、地元の不動産会社を紹介していただき、空き家バンク物件を契約する流れでした。</p><p>当時、役場の担当者から助成金についての詳細や、手続きの方法を丁寧に教えていただきましたので、面倒だったり時間が掛かったといった問題は皆無でした。</p><p>山北町の空き家バンクは売主である家主、不動産会社、役場のそれぞれが連携しており、（私自身が）環境に恵まれてた印象を感じました。</p><h2>空き家暮らしを始めてからの日常生活の変化や感じたことを教えてください。</h2><p>私たち人間はもちろんのこと、犬達がストレス無く生き生きのびのびと暮らしていることです。私達は空気も水も美味しい場所で健康的に生活しています。</p><p>西丹沢の麓にある丹沢湖畔に佇む家なので、毎日の様に犬達とDOGSUP（ドッグサップ）やキャニオニングをして楽しんでいました。（但し、現在は丹沢湖での犬の入水は禁止となってます。）</p><p>元工務店の経験もあったのでセルフリフォームを決行しましたが、家が広く中々終わりません。これも日々の楽しみだと思って、休みの日になると少しずつDIYをしています。3年経った今も構想している全てが終わっておりませんが（笑）。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/09/01/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/GEOnOZyZ3KFd-2jPd5tov.webp"></figure><h2>空き家暮らしで困ったこと、苦労したことについて教えてください。</h2><ul><li>夜が暗い。</li><li>獣がいる。（鹿、猿、猪、狸、熊）</li><li>コンビニが遠い。</li><li>交通機関の乏しさ。</li><li>宅配便等は毎日来るので助かります。amazonも次の日に来ます。</li><li>買物をする場所も1時間程の所にあるので問題はありませんが、暮らす上で車が必須です。</li></ul><h2>地域の人々との交流や関係性の構築について大切だと感じることを教えてください。</h2><p>地域的に5〜6軒の住宅地なので、自治会等での交流や地域清掃などに率先して参加することは大切です。</p><p>この場所が見つかり実際に移住し、地域の皆さんや町に受け入れてもらえて感謝しています。恩返しとしても何かしら地域のために継続的に行動していきたいと思っています。</p><h2>今後も空き家での生活を続けたいですか？その理由について教えてください。</h2><p>もちろん今後も暮らしていきたいです。東京暮らしとは比べ物にならないです。</p><p>仕事上、どうしても都内に通わなくてはならないのですが、東京に着いた途端早く帰りたくなります。確かに都内は便利です。移動も安易で公共交通機関が数多く運行しています。</p><p>ですが、それ以上に空き家での田舎暮らしは魅力的なところがたくさんあると思います。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/09/01/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/fY9DvXgRFSlIYNCRo4ZHq.webp"></figure><h2>地域の魅力について教えてください。</h2><p>最初山北町へ来た時には何も無く真っ暗でした。駅前商店街はシャッター街で、取り残されたような時代遅れで昭和な感じがしました。ですが、人間の感覚は変わっていき、その地域に順応していくのを実感しました。</p><p>今ではレトロ感覚溢れる街並み、静かで虫のさえずりが聞こえる夜、真っ暗な夜空には星と月が輝くのを見ると「ん〜、ロマンティック！」と思う今日この頃です。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/09/01/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/77sSbQHShBfXxKs_lykIo.webp"></figure><h2>空き家暮らしを検討中の方に向けてアドバイスやメッセージをお願いします。</h2><p>田舎暮らしを選択肢とした延長上に空き家暮らしがあるのだと思います。空き家ばかりにフォーカスすると、建物の老朽化や設備的な問題点しか出てこないと思います。</p><p>やはり地域的な問題が大きいです。確かに私達もこの空き家物件に出会っていなければ、この町に来ていないでしょうし、山北町のこの空き家ならば、幸せに暮らしていけると確信を持って購入しました。</p><p>皆さんが暮らす上で、様々な選択肢のポイントがあると思います。私達は「犬達がのびのび暮らしていける場所」が最大のポイントでした。半年間、海、山など色んな場所や地域を回り物件探しをしました。</p><p>そしてタイミングもありましたが最後に辿り着いたのがここ、山北町でした。</p><p>私から皆さんへお伝えすることは、「焦らずじっくり」とにかく納得いくまで探しまくってみてほしいと思っています。</p>

近年、古民家や空き家を購入し、自らの手でリノベーションを施してコストを抑えつつ、自分だけの理想の住まいを実現するDIYが人気を集めています。

地方移住をきっかけに、古民家・空き家での暮らしを検討する方も増えている中、どのようにして理想的な家を見つけ、購入すると良いのでしょうか。
実際に移住し、家のリノベーションに挑戦した方の体験談をもとに、その魅力と課題を探ります。

第2回目にご協力いただいた方は、神奈川県山北町の関　裕さんです。

山北町

神奈川県

 所在地：神奈川県足柄上郡山北町、業種：元調理師、現在ビルメンテナンス業経営（新宿都内にてビル総合管理業）　、家の築年数：45年程

関裕

#2 「ワンちゃんファースト」で、のびのび暮らせる場所を求めて山北町へ！

<h2>どのような経緯で空き家に住むことを決意しましたか?</h2><p>アフリカ・カメルーンでの滞在経験を通じて、自分のライフスタイルを見直したいと思うようになったことがきっかけです。その時、頭に浮かんだ理想の暮らしは、古民家でハンドメイドのアトリエを開くというものでした。</p><p>当時は神戸市に住んでいて、神戸も好きな街でしたが、都市部から離れた場所での生活に挑戦したいという気持ちが芽生えました。そこで、九州を中心に古民家を探し、知り合いのつてを頼って古民家探しの旅をしました。</p><p>その中で、友人が住んでいる愛媛県西予市に立ち寄り、空き家を2件紹介してもらいました。1軒目は家賃が安かったものの、住むためには大幅な改修が必要で断念。2軒目は少し家賃が高めでしたが、庭から見える田園風景が美しく、間取りも広々としていて、訪れた瞬間に「ここに住みたい」と思わず口にしてしまったんです。</p><p>その後、九州も回りましたが、心に響く物件には出会えず、最終的に西予市の友人のサポートもあり、地域おこし協力隊として今の空き家に住むことができました。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/08/29/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/Ld-69Sz8dMO43F-8yJ18e.webp"></figure><h2>空き家を見つけるために利用した手段やサービスについて教えてください。</h2><p>基本的には、各市町の空き家バンクを利用して物件を探していました。しかし、良さそうな物件が見つかっても、実際に足を運んで確認するまでの決断には至らないことが多かったです。</p><p>当時、空き家に関する知識がほとんどなかったため、今振り返るとインターネットで見つけた物件だけでは上手くいかなかったのではないかと思います。最終的には、空き家を本格的に探し始めた際、各地に住む友人たちに相談し、地元のネットワークを活用して物件を紹介してもらう方法に切り替えました。</p><h2>入居前の空き家の状態や実施した修繕、リフォームの内容について教えてください。</h2><p>入居前の空き家は、瓦や内装ともに非常に良い状態でした。前の住民が残していた家具などもある程度搬出されていたため、私の荷物をスムーズに搬入することができました。</p><p>入居後の最初の1週間は、徹底的な掃除に費やしました。動物臭やトイレの匂いが気になったので、天井裏やトイレなど、家全体を隅々まで拭き掃除しました。また、温水器が壊れていたため、大家さんに修理してもらうまでの2週間は少し寒い思いをしましたが（笑）、その後は快適に過ごせるようになりました。</p><p>入居後は、納屋をハンドメイドのアトリエとして活用し、別宅は古民家民宿に改装しました。改装は基本的に自分たちでできることはすべて行い、原状復帰できるように配慮しながら進めました。躯体（※くたい）には手を加えず、木材を工夫して使い、見た目を整えました。</p><p>主な改修内容は次の通りです。</p><ul><li>天井をスダレ、竹でデコレーション</li><li>内壁の板張り、棚の製作</li><li>納屋のカウンター、棚づくり、床張り</li><li>民宿の畳の表替え、障子のアフリカ布デコレーション</li><li>エアコンの設置</li><li>照明器具の交換</li></ul><p>※「躯体」（くたい）とは、建築物全体を構造的に支える骨組み部分のことで､構造体のことを意味する。&nbsp;</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/08/29/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/5NTOFwSVgpcV_dutJ3aqd.webp"></figure><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/08/29/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/YXs7zXCDa3BULhbObP8cw.webp"></figure><h2>支援制度を活用した場合は詳細を教えてください。</h2><p>改装については、基本的に実費でしたので、支援制度は使っていません。使わせていただいたのは、地域おこし協力隊の活動経費です。</p><h2>空き家暮らしを始めてからの日常生活の変化や感じたことを教えてください。</h2><p>空き家や田舎での生活を始めてから、考えることへのストレスが大幅に減ったと感じています。田舎は人もお店も少なく、どこに行くかも自然と限られてくるため、生活がとてもシンプルになりました。</p><p>また、家が密集していないので、圧迫感がなく、玄関を出れば広がる美しい景色に癒されます。畑で土に触れ、天候の変化を肌で感じながら、自然と共に暮らしている実感があります。</p><p>特に楽しいのは、空き家をDIYや改修している時間です。どうすれば自分の理想の空間に近づけるかを考えながら作業するのが非常に充実しています。周りや他人に影響されることなく、今の自分がやりたいことを自由に実行できている点が、とても心地良いと感じています。</p><h2>空き家暮らしで困ったこと、苦労したことについて教えてください。</h2><p>広大な庭や山の管理がとても大変です。今では徐々に慣れてきましたが、カビ問題や虫には悩まされています。<span style="color:#000000;">とくにアリ、ムカデが厄介です。</span></p><p>さらに、昔の家に関する知識がなかったため、建具や畳を一度外して掃除しようとすると、ぴったりと元に戻せなくなることや、砂壁のメンテナンスや外壁のひび割れの修理方法も分からず、対処に苦労しました。</p><p>ただ一番大変だったのは、大家さんとのやり取りだったと思います。賃貸なので、どこまで改修をしていいか、僕のイメージを伝えてもなかなか納得してもらえず、了解を得るのに相当時間が必要でした。</p><h2>地域の人々との交流や関係性の構築について大切だと感じることを教えてください</h2><p>大切なのは程良い距離感を保つことだと思います。移住者は外部の人で、地元住民と同じになるには何十年とかかると思います。</p><p>田舎の地区はいい意味でみんなが家族で、移住者は仲間になるのが精一杯です。ただ、無理にその家族に入ろうとする意識が必要なのではなく、自分がストレスのない距離感を裏表なく表現し、自然に馴染むことが理想です。</p><p>移住者はこの地区の素人であり、分からないことだらけだと思うので、思いっきり頼ったらいいと思います。ただ大切なのは、まず自分がどんな人間かを知ってもらった上で頼ることです。</p><p>そして知ってもらうために、挨拶をしたり、散歩や草刈り、農作業などを通じて地域の方とコミュニケーションをとることが大切だと思います。</p><h2>今後も空き家での生活を続けたいか、その理由について教えてください</h2><p>できる限りここで生活したいと考えています。なぜなら、私が理想とする生活スタイルがやっと整い、今スタートしたからです。</p><p>私が民宿やアトリエを始めたことで、外部の方と地域住民の交流も増えました。それが今後どのように影響していくかを、肌で感じていきたいと思っています。</p><p>そして何より、今までに多くの人に助けてもらったので、その方々にお返しをしていきたいです。</p><p>自分の事業が、地域が求めていることに役立てているという自負があります。ボランティアでなく商売をする上で、私自身が地域の中で何かの役に立っている実感を得られているので、今後もここで生活をしたいと考えています。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/08/29/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/oargULmyDKxfdREMtvN5h.webp"></figure><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/08/29/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/GwrAN0in73w1whjZVQyzi.webp"></figure><h2>地域の魅力について教えてください。</h2><p>のどかな町で、人々の暮らしはゆったりとしています。自然豊かで、マンモスや古墳などの観光資源があります。季節ごとにご近所の方から野菜をいただくこともありますし、ツルやホタルも見ることができる環境です。</p><p>一方で、お店や病院も近くにあり、想像していたより都市への交通の便も良いです。</p><p>伝統技術や生活知識をもった住民が多く、高齢でもとても元気なおじいちゃんやおばあちゃんがいて、負けていられません。</p><p>少し閉鎖的な印象もありますが、それが逆にこれからどう変化するのか未知数でワクワクします。</p><figure class="image"><img src="https://warp.city/storage/uploads/posts/2024/08/29/K2ZFzYT0mcjVgHAwvF-nM/gGf5YxrgE_4swVWjm1b5T.webp"></figure><h2>空き家暮らしを検討中の方に向けてアドバイスやメッセージをお願いします。</h2><p>空き家物件に関しての知識を高め、水回り、屋根、設備、周囲の状況、風通しなどについて調べてください。</p><p>そして、契約する前に必ず現地を訪れて現地もしくは近隣で宿泊することが大切です。現地の生活感を感じるのと共に、その物件の背景や状態を聞くことも重要です。</p><p>それを踏まえ、全国各地で行われている移住体験や先輩移住者が経営しているお店や宿に行くことをお勧めします。</p>

近年、古民家や空き家を購入し、自らの手でリノベーションを施してコストを抑えつつ、自分だけの理想の住まいを実現するDIYが人気を集めています。

地方移住をきっかけに、古民家・空き家での暮らしを検討する方も増えている中、どのようにして理想的な家を見つけ、購入すると良いのでしょうか。
実際に移住し、家のリノベーションに挑戦した方の体験談をもとに、その魅力と課題を探ります。


第1回目にご協力いただいた方は、愛媛県西予市の久場勝弘さんです。

西予市

愛媛県

所在地：愛媛県西予市、業種：民宿・アトリエ、家の築年数：100年以上


#教えて地方の空き家暮らし