移住者プロフィール
池田あゆ美さん
利用した支援制度
地域おこし協力隊
福井県の地域おこし協力隊、趣味・特技:食べ歩きとランニング・ワイン
目次
INDEX
地域おこし協力隊の応募動機について教えて下さい。
2024年3月に北陸新幹線の金沢~敦賀駅間の延伸開業がありました。首都圏と福井が新幹線で結ばれることは、私自身、長らく待ち望んでいたことでした。
東京から福井までのアクセスが向上することで、ヒトやモノの交流が拡大します。そして同時に街も大きく変容します。開業のニュースを聞いた日から、日増しに期待がワクワク高まるなかで、芽生えた想いがありました。
「地元に貢献したい」そして行動するなら東京と福井が結ばれる、このタイミングしかないと思いました。東京には、福井に関する情報が少なく、もっと福井の魅力を知ってもらえたらいいのに…と感じていました。
とはいえ、30年も離れていた地元にどう関わるのか、その足がかりをくれたのが「地域おこし協力隊」の募集でした。さらに「副業」「会社経営」「2拠点可」という好条件で、挑戦しない選択肢はありませんでした。
福井県を選んだ理由について教えて下さい。
私の活動地域は、出身地である「福井県」です。海や山、自然豊かな景色や緑に囲まれた里山で、長い歴史のなかで培われた文化や古い街並みが美しい町です。
古くからのモノづくりの伝統が今も暮らしに根付き、町なかに数多く点在するお寺や神社…さまざまな魅力で溢れる、福井県。私は短大進学とともに、都会の生活に恋焦がれ上京しました。
30代半ばまでは仕事最優先で自立することに必死で、会社の評価軸の仕事や人生観に疑いも持たず、忙殺される日々を送りました。気づけば、虚無感に襲われ活力を失っている自分がいましたが、環境や働き方を大きく変えることもできませんでした。
そしてコロナ禍で「これまでの生き方でいいのか」と本気で自分のビジョンや価値尺度を見つめ直す時間を経て、働き方も暮らし方も変えたいと、私を突き動かしたのは「原点である地元への想い」でした。
2024年、地元が大きく変わるタイミング。期待感とともに、その変化する過程を楽しみたい、そしてその瞬間、私自身も微力でも地元に貢献したいと思ったのがUターンの決め手です。ですから、地元・福井県以外に候補地はありませんでした。
地域おこし協力隊の仕事内容について教えて下さい。
地域おこし協力隊を支援する「地域おこしマネージャー」です。具体的な仕事の内容は以下のとおりです。
- 地域おこし協力隊へのサポート
隊員の活動を促進するための研修の企画や運営
隊員の個別相談や伴走支援の実施 - 福井県内の地域おこし協力隊の募集促進
県内市町の担当者向けの研修企画
協力隊募集時の企画段階からサポート、募集に関する情報発信
地域おこし協力隊のやり甲斐はなんですか?
地域の良さ、魅力を発見しながら活動できることです。私は、Uターンなので幼い頃の記憶、思い入れのある土地や場面が、日々、新しい魅力とともに更新されます。
私の場合、県全域が活動地域です。ですから知らなかった土地・地域を訪ね、魅力ある町や美しい景色、その地域に関わる人たちと出会うことも楽しみです。
関わりが増えていき、その地域のことも好きになります。感動や発見だけでなく、地域や人が抱える問題や課題も見えてきますが、問題があるということは改善できる可能性があるということです。そういった発見も含めて、関わる人たちと共有することで心が通い合い、関係や距離感も近くなります。
地域も人も暮らしや関わりのなかで循環が生まれます。昔からの濃い地域コミュニティのなかで、守られてきたモノやコトには敬意を払い、私が関わることで、流れがよりスムーズに活発になるといいなと思っています。それがこの活動の最大の魅力だと感じます。
地域おこし協力隊になって想定外だったことを教えて下さい。
長く地元を離れていたので、自分の知らない観光資源や食、地場産品や産業など、隠れた魅力をぞくぞく発見できます。地域も成長し変化しており、例えば、商店や商品だけでなく、町の流れも時代とともに変わっています。
Uターンしてきた私は、地域のコミュニティの中では移住者であり「ヨソモノ」です。地域の慣習や決まりなども一つ一つ受けとめながら、自分からも積極的に溶け込もうと努めています。
分からないことは家族に教えてもらったり、少しずつ根を張りながら「ヨソモノ」の視点も持って活動しています。その気づきを伝えることで、地域の人たちの価値観にも化学反応が起きたりする、そのことも発見でした。
私が新たな視点で拾いあげた事象は、実際、地元の人も同様に知らない、気づいてないことも多いことが分かりました。想定外だったと同時に「ヨソモノ」視点も大切なことだと思えるようになりました。
卒隊後のビジョンがある場合は教えて下さい。
地域おこし協力隊の着任と同時に、地元に法人を設立しました。協力隊の任期は、最大3年となっているため、協力隊の期間は、与えられた任務(ミッション)を果たしながら、地域に根を下ろして、基盤を作る期間と考えました。
そして、その3年の任期で終わりではなく、その延長に地域のポテンシャルを最大限に活かした取り組みができると考えました。任期が区切られていても、その先にも繋ぐ、受け皿となる場所があるということを現すためにも、早めに法人を立ち上げました。
任務期間中に地元の情報やコンテンツを集めて、地元の産業と別の産業を組み合わせた新規産業や事業展開を考えたり、地元の産業や地場産品をもっと利活用できるアイデアを形にして、地元に還元できたらいいなと思っています。
福井県の住民と触れ合った際の印象と、エピソードも添えて教えて下さい。
福井県は「共働き率1位」です。県民は、仕事に家事に子育てにとても忙しいはずなのに、地域活動や行事ごとにも積極的に参加している方が本当に多いです。それが、地域のつながりの強さを育んでいると感じます。
地元の氏神さまの神社で小正月に火祭り行事「左義長祭(どんど焼き)」が開催されました。私も他の隊員を誘って参加しています。
左義長祭りは、正月飾りなどを各家から持ち寄って燃やし、その年の健康や幸福などを祈願する祭りです。焼納の浄火されたどんどを囲みながら、どんどの火で餅を焼きます。焼いた餅を食べると、1年間無病息災で暮らせると伝えられています。
最初は、どんど焼きの輪に入っていくのに勇気が必要でした。ですが、細い竹を渡され、餅を刺してどんどの輪のなかで焼いているうちに、会話が始まりいつしか談笑となっていました。
地域に受け入れられて、溶け込めたことを実感できた瞬間でした。日々の積み重ねが地域内のつながりになり、支え合いになる、それが地域コミュニティです。
そして、地域のコミュニティがあるから、祭りなどの地域行事ができているんだなと感じた瞬間でした。
福井県の魅力について教えて下さい。(自然やグルメ、オススメスポットなど)
◎「シャイだけど義理人情に溢れ温かい」福井県民
ご近所やご縁のあった人たちへの義理人情は、ピカイチです。物々交換のような田舎暮らしが楽しめます。地元で起業をしたいと宣言した途端、続々と人の紹介が始まりました。やりたいことを宣言するとどんどん繋がります。地域内の繋がりの強さは、心強い味方になってくれます。
◎美味しい福井は「超軟水がすべての始まり」
越前ガニや越前蕎麦、日本酒、ソースカツ丼、水ようかん、焼き鳥、ボルガライスなど、福井のテロワールから産まれたご飯はすべて美味しいです。なぜなら風土が育む清らかな超軟水がおいしいからです。豊かな森が清らかな雫となり、最終的には海に流れる。だから魚介も美味しいのです。
さらに、女子にとって嬉しいのは、福井の水が肌も髪にも潤いを与えしっとりさせてくれることです。乾燥でカサカサしていたお肌も髪もしっとりスベスベです。(冬の湿度も女性の美肌に欠かせない)
◎「里山の宝庫」里山暮らしを楽しめる風土
自然も豊かですが、誇れるのはゆったりと時間が流れる里山がたくさんあることです。山や海、川の幸に恵まれ、その土地土地に育まれた手仕事文化や食が溢れています。
海も山も川も人も生き物も、すべてを満喫でき、心も整う旅のできる県です。寺社仏閣が点在する街を歩き、座禅をして禅体験、越前和紙の紙漉き体験や農作業を体験できる農家民宿旅など、思いっきり非日常を楽しむのにぴったりです。
◎「パワースポットまで徒歩圏内」癒しの仏教王国
福井県には由緒ある寺社仏閣が数多く点在しています。佇まいの美しさを感じるだけでなく、御利益もいただけるパワースポットの多さも魅力の一つです。浄土真宗、禅宗、真宗と様々な宗派のお寺がなんと約1,800も集う、仏教王国です。御朱印帳を片手に、寺社仏閣巡りもオススメですよ。
移住を検討している方にメッセージをお願いします。
コロナや震災などの影響で、暮らしや働く環境を変えたい、見直したいという方がいらっしゃるのではないでしょうか? 移住してみたいけど、どうしようとお悩みの方にアドバイスです。
地方は魅力に溢れていますが、個性はぞれぞれで、町や風土、人、環境、地域のコミュニティなど、それぞれ多様で異なり、地域の課題も違います。地方や田舎での暮らしは、美しい風景や心癒される自然が身近にあり、ゆっくりと時間が流れ、四季折々の移ろいが楽しめて、都会暮らしでは経験できない豊かさがあります。
もし憧れの移住先があるのなら、ネットの情報を鵜呑みにせず、足を運び、肌感覚を確認してみてください。できれば、生活している人たちの声も聞いてみてください。
実際に、その場所で生活する自分の姿が描けるかどうか、想像できるかどうか確認することがお勧めです。
また、田舎暮らしでは、地域でのお付き合いや決まりごとなど、互いが協力し支え合って成り立つコミュニティや人間関係があります。そういったお付き合いを避けての田舎暮らしは難しく、自分から溶け込む努力も必要です。都会暮らしとは、ちょっと違う不便さやルールも楽しんでください!
福井は、私自身、ここに住みたいと思う魅力的な町もいくつかあり、風景や食文化の愉しさ、人の温かさが心から魅力と感じています。自然豊かな美しい景色、日本海の豊富な海の幸、山の恐竜博物館や海の東尋坊、車があれば半日から1日で楽しめます。
ぜひ一度、北陸新幹線で福井にもいらしてみてください、お待ちしています。
地域おこし協力隊の詳細についてはコチラ↓
https://warp.city/features/2