移住者プロフィール
光澤 人美さん
移住時期
2015年
出身地:福井県、現住所:京都府南山城村、職業:「光ファーム」経営
目次
INDEX
村へ移住したきっかけは?
光澤人美さん(以下、光澤):福井出身で、大阪で20年以上“農”とは全く関係のない仕事をしていました。40歳くらいの頃、知り合いの農園を訪れた時にその光景に感動し、「自分もやりたい」と思ったのが農を志したきっかけです。
最初は京都北部の方へ移住し、全く農業の知識のないまま手探りで畑を始めたものの埒があかず、宇治市にある農業を学ぶスクールに通うことにしました。
スクールでは何を学んだのですか?
光澤:「スモールファーマーズカレッジ」という社会人向けの農学校で有機栽培の勉強しました。学校で南山城村の押原地区で行われているそばの栽培・収穫体験の話を聞き、そちらにも1年間通い、その時に押原地区の皆さんと仲良くなって、家や畑を紹介してもらうことになりました。
南山城村のどこが気に入りましたか?
光澤:まずは押原の「水」に惚れました。畑のある場所が木津川の源流に近いので、根本的に水がきれいなんです。鉄分やミネラルがたっぷりで、その上生活排水もほとんどありません。
最初に移住した北部地域は、大阪から遠い上に、日本海側の気候ということもあり、冬に雪が降るんです。隔離されたように感じてしまい耐えられなくなったのもあって、こちらに移ることにしました。
今の仕事について教えてください
光澤:光ファームの野菜は、村で昔から行われている慣行農法とは違う方法で育てられています。農薬や化学肥料を使わずに野菜を育てています。もともとは、アトピーとかアレルギー体質のお子さんを持つ親御さんたちから注文を頂いた経緯がありました。
できるだけ自然に近い形の野菜がいいという声に応えようと、最初は米ぬかや油かすなどの有機肥料を取り入れるところからはじめました。乳酸菌を発酵させた液や、固定種といわれる種を取り入れたりと、毎年様々な試行錯誤を繰り返してきました。そしてついに、今年は完全に「自然農」に近い状態に変える予定です。
どのように販売しているのですか?また、どのような方が購入していますか?
光澤:手間暇かけて育てている分、販売価格も高めに設定せざるを得ない部分もあります。インターネット経由の宅配がメインです。北は宮城や栃木、南は熊本や大分からも購入していただいています。以前はブログだけで宣伝していましたが、今はほとんどが知り合いなどになっています。
あとはフェイスブックなどで知らない方から「一回食べてみたいから送って」と連絡をもらうこともあります。現在は週2回ほどアルバイトをしていますが、来年からは専業でやっていけそうです。
移住して感じた南山城村の良さは?
光澤:ここから大阪まで1時間ちょっとで行けるんですよ。住む環境として、自然の中で育てたら子どもたちにもいいでしょうし、買い物は不便ですがちょっと頑張れば通勤できます。そこはものすごくお勧めできると思います。
地域の方とのお付き合いについてはいかがですか?
光澤:田舎特有の人間関係というのがあると言いますが、僕の住む地区はそうでもないと感じています。過干渉ではないので、ストレスを感じるお付き合いがあまりないというのは、都会から来る人には入りやすいと思います。
それでは、農業という面ではどうでしょうか?
光澤:今使わせていただいているところは周りに何もないので、騒ごうが何しようが大丈夫なんですよ。だから夏はバーベキューもできます。獣害はありますが、それさえ気をつければ割と自由にできる場所なんじゃないかなと思います。
今後の展望は?
光澤:最近本当に農業をやりたい方が増えていて、実際私のところに勉強に来られている方もいます。そういった方々を受け入れられる体制を強化したら、移住者も増えると思っています。
有機農法とか同じスタイルでやりたい人が集まれば、協力し合うことも可能だと思います。そんな移住者が増えていけば、村にずっと住んでいる人たちとも一緒に、いろんなことができると思っています。
具体的に考えていることはありますか?
光澤:村内にもっと移住者を受け入れられる家や農地を増やして、農業機械やその他“農”に関する情報を共有できるプラットフォームがあったらいいのではないかと考えています。都会から近い立地を活かし、ドイツのクラインガルテンのように農地の貸出と宿泊施設を整え、「週末農園」のようなことをしても活気づいていいんじゃないかと。究極は「コミュニティ」を作りたいです。
援農や体験イベントに来ていただく中で、農業や、ひいては伝統に関して考えていくような場所ができたらいいですね。できれば親子で来ていただいて、非日常な体験を一緒にする中で共通の話題ができ、そこから親子関係の改善に繋がればいいな、と考えています。