移住者プロフィール
伊藤秀さん・ 由佳さん
前住所:福島県、現住所:熊本県上天草市、職業:農業
移住したきっかけを教えてください。
伊藤由佳さん(以下、由佳):もともと、夫は山暮らしをしたかったし、私は海暮らしをしたかったんです。それを上天草市の空き家バンクで、ちょうど良いバランスで実現できる小さな集落の、農地付き空き家にひと目惚れしたんです。
写真を見てすぐココだ!と胸がときめきました。
とにかく、上天草の移住ホームページに載っている空き家バンク情報の充実度はすごいんです。写真の量と質、情報のきめ細やかさ、周辺環境までこれで分かるから、土地勘のない私たちにはものすごくありがたくて。このクオリティはなかなかないですね。
私たちは偶然にも、お互いに若い頃から島暮らしに憧れていたんです。私たちの“終の住処(すみか)”は上天草にあったんですよね。
移住先として上天草市を選んだ理由は?
由佳:「ずっと生きていく町」としてこの町に移り住んだのにはもう1つ理由があるんです。それは、私が患った病気です。結婚してすぐ腎臓ガンになって、余命宣告を受けたんです。
仕事、畑、私の看病、愛犬の世話…夫には本当に大変な思いをさせたけど、色んな奇跡が重なり、癌は寛解しました。お医者さんもびっくりしてます。
でも、何だかもう怖いものがなくなりました。いつ、“生きる”ことの終わりがくるか分からないんだって2人で話して。だからもっと1分1秒を大切にしないといけない。
私たちには本当にやりたいことがあるから、少しでも早く踏み出さないといけないよねって。そんな思いでこの町に来たんです。
上天草市の印象はいかがですか?
伊藤秀さん(以下、秀):私はこの美しい景観を守る農業を大事にしたいと思っています。興したり、耕したり、植えたり、収穫したり。農に従事しながら、自分たちの住む地域を自分たちで守っていくという考えを大切にしたいと思っています。
やりたいと思っていることを一生懸命やっていると、誰かが手を差し伸べてくれる。自分たちが思っていた以上に、この町の人々はあたたかいと感じています。上天草の人々は最高です!
由佳:ここは小さい集落だけどよく人が通る場所で、畑にいると誰かしら声をかけてくださいます。そうやって広がる交流を大事にしていくと、この場所がどんどん愛おしくなっていきます。
やるべきことをやることが、私たちを受け入れてくれた地域への恩返しになるのかなって思うんです。
秀:最近、アオリイカを釣るのにハマっています。移住者交流会の“魚捌き教室“で知り合った同じく農業を志している同年代の男性と意気投合しました。釣った魚や育てた野菜を話のつまみにしながら、交流が続いているのも嬉しいですね。
お二人の今後の展望を教えてください。
秀:今後は地域貢献もしたいし、これから移住してくる人の力にもなっていきたいと思っています。2023年の春からは熊本県立農業大学校へ通うことが決まっており、これから1年かけて就農プランを練っていく予定です。
今は畑で色々と実験の日々だそうで、農家としての本格始動は2024年からの予定です。自分たちは“伸びしろ”しかないと思ってここへ来ました。ひとつずつ目標に向かっていく日々が、私たちにとって今はすべてです。
インタビューの内容は2022年12月の取材時のものです
協力:上天草市セカンドライフ支援ネットワーク