移住者プロフィール
田中 達也さん
利用した支援制度
地域おこし協力隊
和歌山県橋本市の地域おこし協力隊、趣味・特技:アニメ観賞・読書・草刈り・漆喰塗り
目次
INDEX
地域おこし協力隊の応募動機について教えて下さい。
前職では農業に従事していましたが、諸事情で退職し、新しい仕事と引っ越し先を探していました。そんな折、和歌山県が主催する「しごと暮らし体験」で橋本市高野口町信太地区を訪れたことが、大きな転機となりました。この体験で、「earthman」を運営されている井本球さんと真央さんに出会ったことがきっかけです。
初日には、かまどの火入れ式に参加し、その後の2日間は農家民泊のリノベーション作業をお手伝いしました。作業を共に進める中で、信太地区の心地よい雰囲気を肌で感じ、「ここに引っ越したい」という思いが自然と湧いてきました。
その後、真央さんがプロジェクトマネージャーを務める信太地区の地域おこし協力隊の募集を知り、応募を決意しました。田舎での生活が簡単ではないことを承知していましたので、活動を通じて地域に溶け込みたいという気持ちが後押しとなりました。
さらに、地域や自然のために尽力されている井本さんご夫婦を応援したいという思いも、応募の大きな理由の一つです。
和歌山県橋本市を選んだ理由について教えて下さい。
同世代で頑張る人がいることは、私にとって大きな励みになりました。井本球さんと真央さんが昔ながらのかまどを手作りし、山から切り出した薪を使って生活する姿は、まさに自然と共に暮らす理想の形であり、その生活は一見大変そうに見えましたが、同時にとても充実しているように感じられました。
また、「しごと暮らし体験」でお会いした地域の方々や移住者の皆さんが非常に温かく親切だったことも、この地に惹かれた大きな理由の一つです。南葛城山の麓に広がる豊かな自然の中で、狩猟や養蜂、炭焼きといった伝統的な文化が今も大切に受け継がれている点にも強く魅力を感じました。
さらに、自然に囲まれた環境でありながら、車で10分ほどで街に出られる利便性も大きな魅力です。南海線を使えば大阪へのアクセスが良く、また京奈和自動車道という無料の高速道路(一部有料)を利用することで、大阪府内や和歌山市内、奈良などへも気軽に行ける便利さも、移住を決める際の重要なポイントとなりました。
地域おこし協力隊の仕事内容について教えて下さい。
私の主な仕事は、インスタグラムでの情報発信や月刊誌「信太で暮らそ」のLINE配信です。これらの活動の目的は移住促進ですが、まずは「信太」という地域をより多くの人に知ってもらうことを大切にしています。
加えて、信太地区振興協議会の運営サポートや、公共施設「構造改善センター」を活用した地域交流の場づくりも担当しています。振興協議会が掲げる「農山村文化の継承と発展」を軸に、郷土料理や伝統的な風習、草履づくりといった体験プログラムを企画し、実際に実施しています。
さらに、地域のお手伝い、カブトムシの幼虫育成、子ども向けイベントの企画・実施など、活動の幅は多岐にわたります。昨年、視察先の上勝町で学んだ「不用品を活用する」という考え方を基に始めた「ぐるぐる市」もその一環です。これらの取り組みを通じて、多様な経験を重ねながら、信太地区の魅力を発信し、地域活性化に貢献しています。
地域おこし協力隊のやりがいはなんですか?
地域おこし協力隊のやりがいは人それぞれですが、私の場合は「誰かの役に立てた」と実感する瞬間に大きな喜びを感じます。
例えば、お手伝いに伺った際に感謝の言葉をいただいたり、不用品を活用する「ぐるぐる市」で、「この服まだ使えるのに、どうしようかと思っていたから助かった」と言われたり、「こんなきれいな服を本当に持ち帰っていいんですか」と喜んで持ち帰ってもらえたりした時です。こうした何気ない一言や笑顔が、私にとっての大きなやりがいとなっています。
また、毎年恒例の「嵯峨谷里めぐりハイキング」をインスタグラムで発信した際、投稿を見て興味を持った方がメッセージをくださり、実際にイベントに参加してくれたことも大変嬉しく、やりがいを感じた出来事でした。このような小さなつながりが広がる瞬間が、活動を続ける原動力となっています。
地域おこし協力隊になって想定外だったことを教えて下さい。
地域おこし協力隊という立場は、どこか曖昧なところがあります。私の場合、会計年度任用職員として橋本市に雇用されていますが、市役所には週に一度程度しか行かないため、職場としての市役所に馴染めず、少しソワソワしてしまうこともありました。
さらに、地域に入ると「地域おこし協力隊って何?」と尋ねられることが多く、うまく説明できずに戸惑う場面もしばしば。加えて、私は口下手で人見知りな性格もあって、地域の行事では勝手に疎外感を覚えてしまうこともありました。
そんな中でも、信太の皆さんや市役所の職員の方々が温かく接してくださり、「いつも色々活動してくれてありがとう」と声をかけていただけることが、本当にありがたく感じています。
そのおかげで、最近では環境にも少しずつ慣れ、以前よりソワソワすることが減ってきました。地域や職場の方々の優しさに支えられながら活動を続けられていることに、心から感謝しています。
卒隊後のビジョンがある場合は教えて下さい。
卒隊後は、自然と寄り添いながら四季を感じる暮らしをしたいと思っています。例えば、桜が咲く頃までにシイタケの菌を木に打ち込むなど、四季に合わせた営みを大切にしたいです。限られた人生の中で、その一瞬一瞬をしっかり味わい、嚙みしめながら暮らしていきたいという思いがあります。
忙しさに追われる生活ではなく、たとえお金をたくさん稼ぐことはできなくても、ゆったりとした時間の中で一つひとつを丁寧に味わって暮らしたいです。もちろん、田舎暮らしは簡単なものではありませんが、それでもそうした生活を目指したいと思っています。
収入面では、昨年まで副業でしていた家庭教師や塾講師の仕事をこちらでも続けて、最低限の収入を確保したいと考えています。また、草刈りなど地域に役立つ仕事にも取り組み、地域社会の一員として貢献できればと思っています。
橋本市の住民と触れ合った際の印象と、エピソードも添えて教えて下さい。
信太地区には親切な方が多い印象を受けています。たとえば、信太地区振興協議会の会長さんに挨拶に伺った際、「たっちゃん、よお来たな」と温かく迎え入れていただきました。
実は、子どもの頃から「たっちゃん」と呼ばれるのがどこか子供っぽく感じてあまり好きではなかったのですが、会長さんにそう呼ばれたときは、不思議と心地よく感じました。「迎えてもらえた」という安心感があったのかもしれません。それ以来、「たっちゃん」と呼ばれることがむしろ好きになりました。
他にも、地域の皆さんがいつも優しく迎え入れてくださることに、本当に感謝しています。ただ、その優しさは同時に気を使ってくれていると思うので、それに甘えることなく、礼儀を大切にしながら少しでも地域の役に立つ活動をしていきたいと思っています。
橋本市の魅力について教えて下さい。(自然やグルメ、オススメスポットなど)
信太地区は、橋本市の農山村地域です。七地区に分かれていてそれぞれ魅力が異なります。
- 信太の玄関口で街へのアクセスが容易な田原
- 歴史風情溢れる九重
- 信太の中心地、上中
- 田畑が多く、農業が盛んな下中
- 朝陽が綺麗な西川
- 炭づくり、狩猟など昔ながらの文化が色濃く残る嵯峨谷
- 奥まった山の中に佇む竹尾
私は、さまざまな地域の特色を感じられるところ、四季折々に変化する野草や山々の景色が好きです。桜、山茶花、紫陽花、ネムの木の花、百日紅、彼岸花、金木犀、すすきなど、季節ごとに違う表情を見せてくれる植物にも癒されます。
信太地区の魅力やイベント情報は、インスタグラムを通じて発信しています。「信太暮らし」で検索していただけるとご覧いただけますので、ぜひチェックしてみてください。
移住を検討している方にメッセージをお願いします。
まずは気になる場所に足を運んでみることをお勧めします!実際に訪れることで、その地域の雰囲気を感じたり、地元の方と話をしたりして、自分に合いそうかどうかを判断することができると思います。
もし和歌山県に興味があれば、「しごと暮らし体験」という事業があります。この体験では、地域での「しごと」を体験しつつ、農家民宿などに滞在して「くらし」を実際に感じることができます。
このような体験をしてみるのも一つの方法だと思います。あなたにとっての素敵な移住生活が送れることを願っています。
地域おこし協力隊の詳細についてはコチラ↓
https://warp.city/features/2