移住者プロフィール
松本 栄子さん
出身地:山口県小郡町、前住所:兵庫県尼崎市、現住所:北海道紋別市、活動:「紋別押し花の会」を主宰
目次
INDEX
移住を考えるに至ったきっかけを教えてください
松本栄子さん(以下、松本):高校卒業後の19歳の頃、夫と結婚し、兵庫県尼崎市で3人の子どもを育てながら、およそ35年間を関西で暮らしました。40歳になってから大阪の証券会社に就職しましたが、数字に追われ常に成績を求められる世界で辛かったです。
それでも定年の55歳まで働き続けましたが、殺伐とした都会の風には結局馴染めなかったですね。都会の地下街を見ても、“何かあった時はどうなってしまうのだろう”と恐くなったりもして。自然のなかで暮らすのがいちばん人間らしいと感じ、50歳を過ぎた頃から、「定年後は田舎で過ごそう」と想い続けていました。
移住先に紋別市を選んだ理由は?
松本:証券会社に入社して約10年が経ち、ちょうど定年後の田舎暮らしを考え始めていた頃でした。娘の真奈美が中学校教員として紋別で暮らし始めたんです。娘に会うために初めて紋別を訪れたのですが、海もきれい、空もきれい。
特に花が道端に咲き誇っている光景に感動しました。ノコギリソウ、カワラナデシコといった花が、コムケ湖にずらーっと咲いていたんです。そうした光景が広がっているのに、人が誰もいないことも凄いなと思いました。約1カ月の滞在で、紋別への移住の夢が膨らみました。
関西に戻られてからも、紋別で見た花々の美しさが忘れられなかったそうですね
松本:関西に戻ってすぐの頃でした。紋別で見た花々の美しさに魅了され、まだ余韻冷めやらぬ中、大阪の百貨店で偶然「押し花の作品展」があって。もちろんすぐに入会しました。それから定年退職まで約5年間、押し花の勉強を続けました。
移住することに対して、ご家族の理解はすぐに得られましたか?
松本:家族に紋別へ移住することを宣言した当初、夫は『寒いから嫌だ』と反対しました。その頃、真奈美に子どもが生まれることもあり、「子守りも兼ねて一人暮らしする」って引き下がりませんでした。最後は、『じゃあ、俺も行く』と夫の賛同も得られました。
紋別での暮らしについて教えてください
松本:引っ越す時に決めた“子守りは3年間だけ”という約束を果たし、その後は趣味の押し花に没頭しました。初の個展を市内で開いてから、「押し花を学びたい」という人が集まるようになって、サークルを結成したんです。
来た当初は公営住宅住まいでしたが、知人を通して、オホーツク海が一望できる現在の家を紹介され、アトリエも開設しました。移住と同時に運転免許を取得し、道内の温泉地めぐりも楽しんでいます。
実は、田舎暮らしを決めたもう1つの大きな理由が、都会暮らししか知らない孫たちに、「田舎」を作ってあげることだったんです。毎年夏休みには3人の孫が集まり、賑やかな日々を過ごしていますよ。
出典: 花々に囲まれ、 田舎暮らし満喫