移住者プロフィール
平野 道教さん
出身地:高知県、前住所:広島県、現住所:北海道紋別市、職業:酪農家
実際に移住してお仕事の不安はありましたか?
平野道教さん(以下、平野):広い草原に牛が放れているような北海道のイメージに憧れを抱き、広島県で勤めていた酒屋を辞めて北海道へ渡ってきました。網走管内訓子府町で、酪農実習生として基礎を学びました。
想像していた酪農のイメージは、“のんびり”としたものでしたが、実際は日が昇る頃から給餌や搾乳、糞のかき出しなどに追われる毎日でした。とてものんびりなんかしていられなかったです(笑)。
その頃、同じ実習生だった現在の妻と知り合いました。実習期間の1年を終えると、ともに北見市へ移り酪農ヘルパーとしての職を得て、結婚しました。仕事を覚えていくにつれ、「自分でやってみたい」という独立心もどんどん膨らんでいき、道内の各自治体や酪農関係の機関への問い合わせや相談の電話をかけ、とにかく夢へ向かって突き進みました。
移住するきっかけを教えてください
平野:ヘルパーとして3年半が経った頃、紋別市で新規就農を前提としたヘルパーの仕事を見つけました。それで26歳の冬に移住しました。
移住間もない頃は、仕事ぶりを認めてもらおうと必死に働きました。紋別・沼の上地区にある離農跡地を買い取り、12頭の乳牛を飼い、念願だった酪農家としてのスタートを切りました。
その翌日には、早くも分娩があり、これからやっていけるのかな、なんて考える間もなかったです。でも、自分の牛ですから、嬉しかったですね。
地元の方たちとの交流についてはいかがですか?
平野:繁忙期や分娩時などには、ヘルパーの依頼もさることながら、隣り近所の酪農家同士で手伝い合うのが当たり前となっています。
隣りといっても100メートル単位で家が離れていますが、距離に関係なく信頼関係が築かれています。多くの人達が支え合い、移住者も受け入れられる環境にあります。
子育て環境や移住して良かった点を教えてください
平野:今となっては私も地元の人間の1人です。8歳、6歳、2歳の娘がいますが、特に長女は小さい頃から怖がることもなく、牛たちの分娩を見たがります。
家の周囲で、目立った人工物といえるのは家や牛舎くらい。道路を走る車の音や外を歩く人の話し声、ましてや生活騒音などは皆無といえる場所です。
そんな牛たちと自然に囲まれた生活は、子育ての環境として良いと思います。また、夜は余計な光がない分、星空の眺めは抜群です。星は最高にきれいで、都会では絶対に見られません。田舎の星空は本当に飽きません。
現在は35ヘクタールの敷地に60頭ほどの乳牛を飼育し、1日当たり700キロリットルの生乳を出荷するほどになりました。家の外に出れば“広い草原に牛が放れている”イメージは目の前に広がります。広々とした牧草地と空を眺め、仕事は大変といえば大変ですが、今は毎日が楽しいです。
出典: 夫婦で新規就農の夢、 紋別で実現