移住者プロフィール
三明 由嗣さん
出身地:京都府、前住所:フランス、現住所:山口県山口市、職業:「セオサイクル山口店」店主
目次
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山口市へ移住した経緯を教えてください。
三明由嗣さん(以下、三明):京都で生まれて、3歳の時、母の里である山口市仁保地区に移り、高校卒業まで山口で育ちました。
山口県立西京高校では自転車部に所属していました。自転車が大好きで19歳の時、フランスに渡り自転車レーサーとして2年半、レースチームを支えるスタッフとして1年半働きました。
ツール・ド・フランスを完走した一流レーサーや、現在は海外のプロチームの監督をされている方などのお手伝いをさせていただいたこともあります。帰国して、高校自転車部の顧問の先生のアドバイスを受け、25歳の時にセオサイクルに入社しました。
埼玉県内の店舗で、修理、販売、接客、店長の経験を積み、2016年3月に山口に戻ってきました。
なぜ山口でこの仕事を始めたのですか?
三明:セオサイクルに入社した時にいずれは山口に帰ると伝えていました。現会長は「好きなことを生業にして、みんなで楽しく仕事をしよう」という考えの持ち主で、自分の店を持ちたいという夢を応援しようという人。
ですから、「セオサイクル山口店」という形で新しい支店を開店準備からすべて任せてもらいました。
現在の状況と移住後の感想をお聞かせください。
三明:2016年3月に帰ってきて、家の引っ越しと開店準備をしました。店舗運営や商圏などについての相談をしに山口商工会議所を訪ねたら、創業計画書作成を求められました。
店長として経営指標や財務諸表の数字を見ていた経験が役に立ち、翌日すぐに書類を提出。商工会議所の担当者の方のフットワークが軽くて話が早く進み、もろもろの手続きが思っていたよりもスムーズにいって、店を4月にオープンすることができました。
本当に感謝しています。売り上げは想定したよりは良かったですが、売り上げが月によって違うので戸惑いました。店は山口高校の生徒さんたちが「学校から最も近い自転車屋」としてよく利用してくれます。
売るだけではなくて、修理もしますし、サイクルイベントやよりうまく乗るための講習会なども開催しています。正しいフォームやグループでの走り方を教えたり、店にある屋内用トレーナーでペダリングスキルやバランス感覚を身につけてもらったりしています。
店はスポーツ系だけでなく一般的な自転車も扱っていますし、もちろんパンクの修理もしますので気軽に寄ってくださいと、もっとアピールしていきたいと思っています。そして自転車に乗らない人にも自転車の魅力を伝えていきたいですね。
地方への移住にあたり不安だったことは?実際はいかがでしたか?
三明:妻は千葉県出身ですが、山口に移ることを承諾してくれました。住まいは店舗への通勤などの利便性を考え、私の実家のある仁保地区と店との両方に近い町なかにしました。
山口の魅力を教えてください。
三明:人がおおらかだと思います。つっけんどんなところもあるけど、基本的に優しい。
周りとのつながりがあるのでワガママはできませんが、自分のペースで動くことができます。受け入れてもらっている実感がありますね。
時間の流れがゆっくりだという感じもあります。山口市は市域が北から南まで広いので、いろいろ楽しめるところだと思います。
自転車乗りの視点でいえば、海沿いのコースもあるし、秋吉台へも行けるし、山に行って林道を走ったり、マウンテンバイクで遊んだりということもできます。
先日も、雪の日にマウンテンバイクで山に行ってダウンヒルを楽しみました。
山口に住んで戸惑ったことはありましたか?
三明:商店の閉店時間が早いことに戸惑いました。これは慣れるしかないのでしょうね。
それから山口の人は生活のルーティンを決めて、それをきっちり守ろうとする傾向がある気がします。毎日、夕方5時半きっかりの渋滞はショックでした(笑)。
テールランプが連なっている景色はきれいですけど。「移動手段は自動車」と決めたら自動車だけ、という人も多いのではないでしょうか。自転車にも目を向けてほしいです。
今後の展望についてはいかがですか?
三明:お客さんをもっと増やして売上アップを図りたい。稼いでちゃんと納税し、店の規模も拡大して雇用を生むことで地域貢献につなげたいです。
みんなが集まって楽しめる店にしたいですね。 セオサイクルの後輩から「中国地方に帰って支店を新規オープンしたい」という相談を受けたこともあります。
地方は人口が少ないから商売にならないと思って二の足を踏んでいる人も少なくないはず。がんばって、成功して、「やってみようかな」と思ってもらえるようなロールモデルになりたいです。
移住を考えている人・移住してきた人にアドバイスをお願いします。
三明:Uターンしてしばらくすると、地元のいいところも悪いところも見えてくるので、いいところは伸ばし、悪いところは努力して直していけばいいととらえて、あせらずにいてほしいです。 I・Jターンの人には、山口は単純な田舎町ではなく、楽しい発見ができるところだと伝えたい。
ビジネスを始める人には、「東京で流行っているから山口でも大丈夫ということはない。商圏人口が違う」ということを頭に入れて、数字的な裏付けを持ってやってほしい。安易な思いつきではだめです。
逆に、地方だからこそのチャンスもあると思う。柔軟に考えてください。 UJIターンで人が増えて賑わいを生み、経済も活性化するといいですね。
出典: 先輩移住者の声 三明由嗣さん